セルゲイ・タブノフ撮影
日本の短篇小説とロシアの古典が織りなす妙なる映画がまもなくお目見えする。
ロシアの画家で監督のルスターム・ハムダモフ氏が、愛のために犯した犯罪についての3部作の第2部『ルビー』を撮影している。 『ダイヤモンド』というタイトルの第1部は1920年代を想わせる時代設定で盗みについての物語。第2部は殺人と真相究明についての物語である。
監督兼脚本家でエルミタージュ美術館の現代コレクションにその作品が収められた画家。映画『ダイヤモンド。窃盗』はべネチア映画祭で上映された。
「彼はなぜあれでなくてこれかを詳しく説明します。彼の中ではいつもあれとこれが繋がっています。普通の帽子から始まって世界大戦で終わるといった具合です」とは仲間のハムダモフ評である。
ハムダモフ氏は雑誌『セアーンス』へのインタビューで、映画の構想について次のように述べている。
「私たちが撮影している映画は芥川龍之介の短篇『藪の中』を下敷きにした作品で、私はそれをロシア風にアレンジしました。黒澤明もその小説をもとに『羅生門』を制作しました。私は舞台をアレクサンドル2世の時代(19世紀中葉)に移しました。ある夜、皇后の女官が大公に物語を読んで聞かせる。彼らは言い争い、ともに泣き、馬鹿げたことについておしゃべりをする。その時、森で皇子が殺害される。そんな対位法です。登場人物はみな自分が皇子を殺したと言います。ロシア民話の魔女バーバ・ヤガーは彼を蘇らせ、皇子は本当は自殺したのだと言います」。
『ダイヤモンド』が様式化された無声映画だとすれば、『ルビー』は疑似ロシア的なものを創る試みである。
ハムダモフ監督は「すべては空想の産物ですが、観る人はみんなそんな格好をしていたと思うでしょう。私にはその時代の服装は分からず、ただ教会の金襴を用いました」と語った。俳優たちの衣裳は複雑極まりなく、生地は高価だった。
「私たちは『モスフィルム』撮影所で探しました。古着は1930年代に処分された教会の衣裳で、セルゲイ・エイゼンシュテイン監督が使っていたものでした。あちこちほころびを直して私たちもそれらを使ったというわけです」。監督の表情がゆるんだ。
撮影は10月も続けられる。今度は森の中=写真=ではなく破壊された宮殿を舞台に。
セルゲイ・タブノフ撮影
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。