ソチへ、再び栄光を目指す

すでに得た栄光に安住せず、自分をライバル視して演技に励むプルシェンコ選手。=エルウィン・ゾイガー撮影

すでに得た栄光に安住せず、自分をライバル視して演技に励むプルシェンコ選手。=エルウィン・ゾイガー撮影

フィギュアスケート男子の2006年トリノ冬季五輪金メダリスト、エフゲーニー・プルシェンコ選手(29)は10月初め、、さいたまスーパーアリーナでのカーニバル・オン・アイスのエキシビジョンとジャパンオープンのチーム対抗戦に出場した。彼はこの出場を自ら大使を務める2014年のソチ冬季五輪へのステップとみなしている。まもなく30歳の節目を迎えるプルシェンコ選手に、今後の目標や日本への思いについて聞いた。 

昨シーズン、プルシェンコ選手はほぼ2年ぶりにアマチュアに復帰した。ロシア選手権と欧州選手権で優勝し、その後、膝を手術するためにシーズンを終えた。

今夏、彼は振付師・宮本賢二氏とニーノ・ロータの音楽『ロミオとジュリエット』に合わせた新しいフリー演技用プログラムに取り組み、現在はロシアや欧州を巡る長期ツアーを行っている。

記者(ミラキャン)はイタリアの円形劇場『アレーナ・ディ・ベローナ』で催された『氷上オペラ』ショーの前日、プルシェンコ選手と会った。 非常にタイトで変わりやすい日程にもかかわらず、『ロシアNOW』のために時間を割いて、競技や日本への思いについて語った。      

世界初4回転4-3-3

1982年11月3日生まれ、 ハバロフスク地方ソルネチヌイ(「太陽」の意)町出身。 トリノ五輪(2006)で金メダル、その前後の五輪(2002, 2010)で銀を獲得、世界選手権3度優勝。世界で初めて4回転からの4–3–2、さらに4–3–3の「プルシェンコの連続技」を成功させたほか、美しくも難しいスピン「プルシェンコ・リング」を完成させた。

ー3地域対抗戦のジャパンオープンで日本選手にライバルはいましたか?

ジャパンオープンでは誰とも戦うつもりはありませんでした。競争するのは自分自身だけ。いつもの姿勢と同じだ。ライバルは全世界。もし個々の相手と競争したら、すぐに負かされてしまうから。私の最強のライバルは私だ。私にとっては、自分に打ち勝てることが一番重要だ。つまり、正しく曲に乗り、緊張に打ち勝てるということ。  

ーつまり、あなたは長年フィギュアスケートをやっているのに、以前と同じように緊張し続けているってこと?  

もし選手が緊張しなくなったら(私はもうそれを経験した)何も成果は生まれない。多くの選手は好成績をあげた後、自分は緊張しなかったかのように振る舞う。それは嘘だ。どの選手も、上を目指したいなら間違いなく緊張する。たとえエキジビジョンの演技でもそれは変わらない。  

ー今年のプログラムの準備で新しい振付師と組みましたね。その宮本賢二氏との協力関係についてお話していただけませんか?   

ケンジは素晴しい振付師だ。穏やかな人柄で、素晴しいユーモアのセンスの持ち主。見事なスケーティング技術を持ち、振付へのアプローチが面白い。彼は新しいビジョンを持ち込んでくれた。彼と一緒に「ロミオとジュリエット」の上演に使ったいくつかの要素を新しいプログラムに移し入れた。それはとても面白い経験だった。

ー日本の観客からの高い関心を初めて感じたのはいつですか?日本のファンは、いつもどんなサプライズをくれますか?  

日本は、私にとって第二の故郷だ。初めて日本に行ったのは15歳の時だったが、日本の人たちは、すぐに私を好きになってくれ、私も日本人が好きになった。彼らは私に「太陽の少年」という名をつけ、いつもたくさんのプレゼントをくれた。日本の観客の皆さんの愛情には、とても感謝している。

ー日本での熱狂的な人気を、自分でどう理解していますか?

日本人は芸術を愛している。バレーを愛し、フィギュアスケートを愛している。もっとも、すべてが定着しているわけではない。私が彼らを惹きつけたのは、私がスケートに打ち込んでいること、勤勉さのせいだと思う。

ー日本に対してどんな見方をするようになりましたか?もし自由な時間ができたら、最初にどこへ行きますか?  

日本の文化はロシアの文化と違っているが、私は日本文化を愛している。日本人はとても几帳面で、きちんとした人たちだ。異色だが、非常に興味深い国民だ。日本はどこも素敵だ。食べ物の驚くべき質の高さには感嘆する。私は牡蠣(かき)が大好きだ。日本の牡蠣の大きいこと。日本に行って第一に行きたいのは、やはり魚料理のレストランだね。  

主なスケジュール

▼10月12~14日=アイスショー(ロシア3都市)。20日=ゴールデン・スケート・アワーズ(イタリア・トリノ)
▼11月7日=アイスショー (サンクトペテルブルク)
▼12月 11~14日=アイスショー(チェコなど) 。24~28日= ロシア選手権 ( ソチ)

ー日本とロシアの若いフィギュアスケート選手に対する評価をお話していただけませんか?  

まず第一に、19歳のユズル(羽生結弦)。彼が正しいコーチスタッフを見つけられれば将来、チャンピオンになるだろう。彼はまだ完全には開花しきっていない選手だ。彼にくれぐれも願うのは怪我をしないでほしいということ。  

現在、非常に強いのはタカハシ・ダイスケ(高橋大輔)。彼には衝撃的なカリスマ性と表現力があり、スケーティングが実にうまい。興味深い選手だ。  

もう一人、コヅカ(小塚崇彦)にも注目したい。女子では、アサダ・マオ(浅田真央)とアンドウ・ミキ(安藤美姫)。日本は今、才能ある選手が非常に多く、年若い世代が育ってきているのを知っている。