「ロシア人は隣の人の暮らしが豊かだとねたんでその人の家に放火をするが、その人が苦しんでいるのを見ると、なにもかも忘れて自分の家に住まわせ、自分のものをすべて与える」。ロシアのタクシー運転手が語った。ソ連崩壊直前のことだった。
あれから20年余。ロシアは変わったが、海のように豊穣な言葉の向こうには、連綿と続いている芸術・文化の豊かな伝統が今も感じられる。
「少々悪いことをしても、後で神さまにお祈りしたら大丈夫」と言う人がいる一方で、信じられないほどピュアな人間がいる。「創造活動」「詩」という言葉をロシア人ほどひんぱんに使う国民もいない。
私の3部作は、そんなロシア人たちを時代の推移の中で描いた肖像画コレクションである。
(安達 紀子・早稲田、立教大学兼任講師、通訳)
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