ロイター通信撮影
7月初め、露農業省は、穀物の予想収穫量の下限を大幅に引き下げた。昨年の9400万トンに対し、8000万~8500万トンにとどまる見込みだ。主な原因は旱魃で、ロシアのほぼすべての穀倉地帯が大なり小なり被害を被った。
他の地域は今後の天候次第
ロシアの穀物輸出業者を代表するアルカジー・ズロチェフスキー氏(ロシア穀物連盟会長)は、クバニ、スタブロポリ、ロストフ・ナ・ドヌ、リペツク、ペンザ、ウリヤノフスク、クルガン、アルタイなど伝統的な穀倉地帯が、軒並みやられてしまった、と嘆く。
「他の地域はまだ分かりません。リスクはありますが、何とか避けられるかもしれません」。ズロチェフスキー氏は、今後の天候次第だと言う。最悪の天候が続くか、恵みの雨が降るかだ。
ようやく国内需要分を確保か
しかし、ズロチェフスキー氏はそれほど悲観しているわけではない。農業省は万一を考え、悪い数字を出しているという。氏の評価では、収穫量は8500万トンというところで、これに昨年の収穫の残りを足せば、1800~2000万トンは輸出できる。
もちろん、これは昨年の輸出量2600万トンより少ないが、2010年度の比ではない。このときは、ロシア各地の旱魃と森林火災のせいで、収穫の約3分の1がだめになり、当時のプーチン首相は、穀物禁輸の措置をとらざるを得なくなった。
とはいえ、すべてのロシアの専門家が、ズロチェフスキー氏の楽観的見通しに賛成なわけではない。オレグ・スハノフ氏(農業市場動向研究所市場分析局長)によると、今年の収穫は7700万トンどまりだという。「しかも、これは最悪のシナリオじゃありませんよ」と同氏は釘を刺す。
この数字は、ロシアの国内需要6700~7200トンに不気味に近づいてくる。同研究所は、その後さらに予測を引き下げ、現在は6850トンだ。だから、昨年の収穫の残余を合わせても、輸出に回せるのはせいぜい1350万トンにすぎない。
穀物増産計画
ロシアの輸出穀物のお得意さんは、中近東、北アフリカなどの国だが、昨年は、東南アジア諸国も加わった。この地域との商談は2010年に始まっていたが、禁輸措置で先送りになっていた。
「確かに、今年の輸出量は半減しそうですが、これは長期的な傾向にはなりません。来年豊作なら、また世界の穀物輸出国の上位に食い込めるでしょう」とスハノフ氏は言う。
ロシアには野心的な穀物増産計画があり、2012年7月初めには、その更新バージョンが採択されている。この2013~2020年の発展計画によると、今後8年間で、穀物の収穫量は、1億1500万トンに達し、世界最大の穀物輸出国であるアメリカをうかがうことになる。
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