猫も杓子も大豆

大豆は、作付面積の伸びでも独走している=Alamy/Legion Media撮影

大豆は、作付面積の伸びでも独走している=Alamy/Legion Media撮影

半世紀前、世界的にはあまり知られていなかった大豆は、今やロシアでも、作物の主役に躍り出ようとしている。

大豆は今や主要作物の一つであり、飼料の主役だ。ロシアでも、大豆ビジネスは栄えており、ここ数年で、市場の取引は3倍増えた。

ロシアの大豆ビジネスは、初めはもたついていたが、その後、猛ダッシュをかけている。最近数年で収穫は3倍増、加工業も急速に拡大している。

この新ビジネスの市場は、さらなる成長を約束されており、投資家はここにさまざまな可能性を見出すことができる。

米国農務省(USDA)の「局間農業予測委員会」(Interagency Agricultural Projections Committee)によれば、今後10年間で世界の大豆需要は、20%以上増えるという。その結果、世界の市場での大豆の売り上げは、小麦を永遠に抜き去ることになりそうだ。大豆は、作付面積の伸びでも独走している。

ロシアの油糧種子生産量

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応用範囲の広さ 

しかし、ロシアでは、大豆と言えば、動物タンパクの安価な代用品と受けとる向きが多い。実際、大豆タンパクは、肉の3分の1から5分の1の値段なのに、食品としての特性は肉に近く、味はくせがない。

だが、大豆の応用範囲は、肉の比ではない。日本、韓国など極東の国々では、豆乳や豆腐は伝統的な食の一部をなしている。大豆のタンパクは、水や脂肪と容易に結びつき、しかも安定した結合物になるので、何らかの食品の構造を安定させたり、着色したり、匂いをつけたり、泡立てたり、ゼリー状にしたり、乳剤にしたり、とさまざまに応用されている。

とはいえ、大豆のほとんどは食品ではなく、飼料として使われる。大豆かすなどの大豆の副次品の80~85%が飼料用だ。

畜産の急成長が牽引車 

ソ連時代、大豆は極東でなにがしか栽培されていたが、ソ連崩壊後の90年代に、ほぼ壊滅した。その後の急激な復活は、00年代初めの畜産の急成長によるところが大きい。この傾向を加速させたのが、西側の経営スタイルに則った農業法人の投資プロジェクトだ。これらの法人は、生産性の高い家畜の品種を飼育するが、それらの品種は「現代的な」世話と餌を必要とする。

「00年代の半ばまでは、大豆の飼料は、ロシアではほとんど生産されていませんでしたが、今では、金額にして3分の1近くを占めています」とコンサルティング会社「Abercade」社の専門家は指摘する。

畜産業者の大豆に対する需要は、国内の大豆生産者の供給量をはるかに超えてしまったので、00年代半ばに、ロシアは大豆かすの輸入大国になった。

こうして、大豆はロシアでも有利なビジネスとなり、ロシア産の大豆も、品質は悪いものの、世界の市場に出荷されるようになった。

露で穀物と採油植物の収益上回る 

「ロシアでの大豆栽培の収益は、もちろん、世界の景気の動向によりますが、基本的に、穀物や採油植物を上回ります」と、農業市場動向研究所の主任研究員であるイリーナ・クグチナさんは言う。

「我々の試算では、2011~2012年の中央連邦管区での大豆栽培による利ざやは、ヒマワリより30%高かったのです」。

こういう状況で、2004年以降、大豆栽培はロシアで急速に広がり、2011年には収穫は3倍増となった。

大豆生産で主役を演じているのは、今もやはり極東だ。収穫の半分近くがアムール州に集中している。収穫のほとんどが、現地で第一次加工される。それは、比較的規模の大きい油脂加工工場で、ブラゴベシチェンスク市にある「アムール・アグロ・ツェントル(アムール農業センター)」とイルクーツクの油脂加工工場だ。大豆と大豆かすの一部はヨーロッパ・ロシアに送られる。

*元原稿