モスクワのパノラマ館兼博物館「ボロジノの会戦」 =エレナ・ポチェトヴァ撮影
モスクワのパノラマ館兼博物館「ボロジノの会戦」 =エレナ・ポチェトヴァ撮影
軍議があった場所
パノラマ館が位置している正にこの場所にあった農家で1812年9月13日、ロシア軍の将帥が集まって軍事会議が開かれ、総司令官クトゥーゾフが戦わずしてモスクワをナポレオンに明け渡すことを決定した。
博物館に入ると、ナポレオンのロシア遠征以前のモスクワにタイムスリップできる。
しかし、ホールを進んでいくにしたがい、光景は急激に変化する。人気のない家々の窓からは炎が噴き出し、阿鼻叫喚と占領者の哄笑が聞こえる。兵士たちが略奪品を引きずっていく。悲鳴と騒音が、やがて、ロシア軍の馬蹄の音と将兵の会話に移り変わっていく。ここから、パノラマまではもうすぐだ。
画家ラボーの大作
このパノラマ創作のアイデアは画家フランツ・ラボーのものだ。彼は当時既に、「アフリゴ村の襲撃(19世紀、北カフカスでのムスリムとロシア帝国間の戦争の一コマ)」と「セバストーポリ防衛戦(クリミア戦争におけるセバストーポリ要塞の攻防戦)」で傑出した仕事をしていた。
彼の超大作が完成したのは祖国戦争とボロジノの会戦の100年後だ。パノラマ画の全長は115㍍、高さは15㍍に及ぶ。
このパノラマは今回の改修工事で修復され、「情報キオスク」を備えることになった。各情報キオスクにあるモニターで、画面のどんな細部でも拡大して、あらゆる方向から眺め、そこに描かれている人物に関する説明を読むことができる。
例えば、血まみれの顔をして、黄色の短上着を着た胸甲騎兵がいる。これは下士官ニコライ・ルイブスで、会戦後、聖ゲオルギー勲章を授与された。この勲章は真の勇士の証だ。彼は、兜を失ったが、英雄的に戦い続けた。
特別展示「ボロジノの日の栄誉」では、戦争画、将帥と二人の皇帝、皇族の肖像画のほかに、19世紀初めの四肢切断の器具なども見ることができる。
また、ロシア軍総司令官クトゥーゾフの製図用具一式、煙草入れ、事務机なども展示されている。
さらに、リアルな人形の軽騎兵たちとコサックたちが、焚き火を囲み、フランスの少年鼓手に食べ物を分け与えている。パルチザンの服装も、当時のそれを寸分違わず再現しており、まるで本当にそこに人間がいるかのようだ。
「戦争と平和」も展示
展示会「時間と物、歴史と伝説」では、戦闘の場面を描いた陶磁器、文豪トルストイが祖国戦争を描いた名作『戦争と平和』(1912年に出版されたものが展示されている)、サーベル、彫刻、将帥たちの肖像画などが展示されている。
また、この作品を1968年に映画化したセルゲイ・ボンダルチューク監督によるシナリオもここで実際に見ることができる。
「アフィーシャ誌、ニュースサイト strana.ruなどの資料による」
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