秋そして新学年

=タス通信撮影

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ロシアでは、秋だけでなく、学校の新年度も9月1日に始まる。8月が終わる頃には子供たちはサマーキャンプやダーチャから帰宅し、両親とともに新学年の準備を始める。

イワンさんは失業中であるものの、ロシアの他の何百万人もの保護者と同じく、娘の新学年のお祝いに夢中だ。

 トベリ出身の建築技師である彼には、今年1年生になる娘がいる。ロシアでは、子供の入学は、伝統的に盛大に祝う。

「私は何ヶ月も失業中なんですが、これは我が子にとってとても大切な出来事です」と、イワンさんは、モスクワのショッピングモールの新学年開始セールで、鮮やかなピンクのリュックサックを手にとりながら、語った。

9月1日は「知識の日」 

 1984年以来、9月1日は、国の祝日「知識の日」だ。学校、大学は、新入生を迎え、新学年が始まり、「最初の鐘」が鳴って、最初の授業が行われる。生徒、学生にとっても、教師にとっても祝日だ。

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知識の日

この日、学校は、整列式で始まる。整列した1年生を、やはり整列した上級生が歓迎し、教員、来賓などが祝辞を述べる。  この辺は、日本の入学式と変わらないが、その後で、全学年で一定のテーマにもとづく授業が行われるのが、ロシアの特徴だ。「平和についての授業」や「勇気についての授業」などを必ずやらなければならない。

今年は五輪金メダリストたちが特別授業 

今年の9月1日は、モスクワなどいくつかの都市で、生徒たちに思いがけぬプレゼントがあった。ロンドン・オリンピックの金メダリストたちが授業をしてくれたのだ。

西シベリアのオムスク市には、新体操のクセニア・ドゥドキナ選手が訪れた。彼女はまだ17歳で、今年11年生になる。もっとも、トレーニングで忙しく、授業にはあまり出られないし、宿題は、両親を通じて先生に提出する。

ドゥドキナ選手に会いに大勢の生徒がやって来た。彼らは初めて金メダルを目にし、手に取ることもできて大喜びだ。

レスリング男子グレコローマンスタイル74キロ級の優勝者、ロマン・ブラソフ選手は、ノボシビルスクの母校を訪れた。彼は、15年前にここに入学したときに、先生に「将来何になりたい?」と尋ねられて、「オリンピックのチャンピオン!」と答えたことをよく覚えている。彼は、今や学校の真のヒーローだ。

 新学期の支度に平均2万2千円 

連邦国家統計局によると、モスクワやサンクトペテルブルクなどの大都市以外での平均給与は、月2万ルーブル(4万8000円)をわずかに上回る程度だ。

その一方で、MSN Moneyの最近の試算によると、今年の新学年の準備に要する費用は、ロシア全国を通じて子供1人につき最低でも平均9000ルーブル(2万2000円)になる。学校ごとの制服に関する規則に従い、制服を買い、教科書やバッグ、ノートなどをそろえるのに、これだけかかるのだ。

 もっとも、ロシアのすべての学校で制服が義務づけられているわけではない。生徒や保護者の多くは、生徒の「非個性化」につながるという理由から制服に反対している。

 なぜブランド品か 

しかし、2人の学童の母親で、モスクワに住むイリーナ・マトベーエワさんは、到底9000ルーブルでは済まないと言う。

「それは地方の平均価格に基づいた数字であって、ブランド品は除外されているでしょう」と、彼女はモスクワ・ニュース紙の取材に対して語った。

「実際には、最近の子供は、地方の農村でも、最高の制服や靴を欲しがるものです。そうでなければ仲間にいじめられる可能性がありますから。今年、私は、新学年の開始に向けて保護者にローンを勧める広告を目にしました。中にはそれを利用しなければならない保護者もいるに違いありません」。

低所得者向けセール 

低所得層の家族を対象とする新学年開始セールの催しでは、販売員の中にさえも、陳列された製品の品質に対して疑いを持つ人がいた。

「私は今週いっぱいでこの仕事を辞めることになっているので、本当のことを話してもかまいません」とモスクワ・ニュース紙に打ち明けたのは、女性販売員のファティマさんだ。「販売されているのはほとんど粗悪品です」。

 ファティマさんは漫画のキャラクター付きのリュックサックを指さした。「例えばこれを見てください。ひと月も経たないうちに壊れてしまいますよ。それでも平均的な収入の親にとって、これならどうにか手を出せるという価格なんです」。

とにもかくにも、9月1日には47823校が始業式を迎えた。今年度は1335万6000人の生徒が始業式に出た。昨年と比較して26万人近い増加だ。

こうして保護者は、始業式までにどうにかすべての準備を整えた。一方の子供たちは、わくわくしながら学校の日課を楽しみにしている。