ロシア文学翻訳賞「ロシアを読もう」

=ロシア通信撮影

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ロシア文学の外国語への翻訳の質を競う、「Read Russia(ロシアを読もう)」賞の第2回授賞式がモスクワで開催され、イギリス、スペイン、イタリア、フランスのロシア文学の翻訳家が受賞した。この翻訳賞は、ロシア連邦出版・マスコミ局が後援する。

20世紀部門はアンドレイ・ベールイ『ペテルブルク』の英訳

 イギリスから参加した、マンチェスター大学名誉教授のジョン・エルズワースさんは、「20世紀ロシア文学」部門で「Read Russia」賞を獲得し、次のように語った。

 「象徴派の詩人アンドレイ・ベールイの作品をずっと研究していて、長編小説の『ペテルブルク』の翻訳にかなり前に初挑戦したのですが、失敗に終わりました。原文に相当する英語の表現方法を見つけるのが困難だったため、翻訳するのを止めました。それから何年も経過してから、自分で考えだして、創作する必要があることに気づきました」。

 エルズワースさんが翻訳したアンドレイ・ベールイの『ペテルブルク』は、「プーシキン・プレス」出版社が少部数で出版した。

 「ベールイが人気作家になることはないでしょう。ベールイの作品を研究した人なら、誰でも知っていることです。それでも作家のウラジーミル・ナボコフが、1960年代に『ペテルブルク』を20世紀四大作品のひとつだと評価していたことは、興味深いです。イギリスの読者は、ナボコフの発言については知っていますが、この作品そのものは知りません。翻訳はこれまでもありましたが、多くの読者をひきつけるには、ちょっと物足りなかったようです。ですので、再挑戦する意味はあったわけです」と、エルズワースさんはロシアNOWの記者に述べた。

 

ドミトリー・ブイコフの評伝『パステルナーク』の仏訳

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 「近代ロシア文学」部門で最優秀賞を受賞したのは、ドミトリー・ブイコフの評伝『パステルナーク』を翻訳したフランスのエレーヌ・アンリ・サフィエさんだ(「ファイヤール」出版社)。著者のブイコフは最近、野党の活動家としても知られる。

 サフィエさんは、ソルボンヌ大学でロシア詩を教え、文学翻訳の理論と実践についてセミナーを行っている。これまでに、パステルナーク、マンデリシュターム、アンネンスキー、ナボコフ、アフマートワ、ブロツキー、ルビンシテイン、シュワルツなど、20世紀のロシア詩を研究、翻訳した。フランスの芸術文化勲章を2005年に受賞している。

 

レフ・トルストイ『アンナ・カレーニナ』のスペイン語訳

 この大会で最も重要といえる「19世紀ロシア文学」部門で最優秀賞を受賞したのは、レフ・トルストイの『アンナ・カレーニナ』を翻訳したスペインのビクトル・ガレゴ・バレステロさんだ(「アルバ」出版社)。

 バレステロさんは、国立A.S.プーシキン・ロシア語大学出身で、19世紀ロシア文学の専門家である。これまで、チェーホフやトルストイの短編小説、プーシキンの詩、ツルゲーネフの中編小説、ドストエフスキーの「作家の日記」、ゴーゴリの『ミルゴロド』や『外套』をスペイン語に訳しており、2年前に『アンナ・カレーニナ』の翻訳を行った。

 

「戦車2~3両分を賞金にまわして」

 受賞者それぞれに大会の記念メダル、賞状、賞金5000ユーロ(約50万円)が贈呈され、さらに、ロシア連邦出版・マスコミ局協力のもと、非営利団体「翻訳研究所」から、受賞者が翻訳した本を発行した出版社にも、今後のロシア文学作品の翻訳費用として、賞金3000ユーロ(約30万円)が贈られた。

 出版・マスコミ局のミハイル・セスラビンスキー局長が、『アンナ・カレーニナ』の翻訳者のバレステロさんに賞を授与した。

 同局長はスピーチを行い、自身の局の業務は「ロシア財務省と常に戦うこと」であり、実際にはそんな多額を要求しているわけではなく、戦車2~3両をあきらめて、翻訳賞にまわしてくれればいいだけだと言って、会場を沸かせた。