露コンピューター・ゲーム市場が急成長の見通し

=タス通信撮影

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ロシアのコンピューター・ゲーム市場は、今後3年で90%成長する見通しであることが分かった。急成長の起爆剤は、オンライン・ゲームだ。

ロシア発Allods Online

西側諸国ではAllods Online(アロッズ・オンライン)として知られるゲーム、「アロドィ・オンライン」は、ロシアのMail.ru Group(メール・ル・グループ)のスタジオの製品で、世界的な展開に照準を合わせてつくられた。

すでに欧米や、日本、トルコ、韓国、インドネシアなどのアジアでは、ローカライズされている。また、今月末には、中国のインターネットに初めてお目見えする。開発者によると、このゲームは世界中で800万人以上の登録者がいるという。

ロシアのゲームが国際舞台に登場することはめったになく、ロシア国内の市場でさえも、外国の開発品が占めている。Mail.ru Groupのゲーム・ポータル・サイトでは、上位11位のゲームのうち、5つが中国、3つが韓国でつくられたもので、ロシアはわずか1つとなっている。

スマートフォンやタブレットの普及とともに

とはいえ、ロシアで新しいオンライン・ゲームを販売できる領域は、徐々に拡大している。コンピューター機器のパーソナライズと、スマートフォンの価格低下で、今やモスクワの地下鉄のどの車両を覗いても、自分の携帯端末やタブレットのゲームに没頭している人が何人もいる。ゲーマーの数は4000万人を超えた。

J'son & Partners Consulting(ジェイソン・アンド・パートナーズ・コンサルティング)社のアナリストの計算によると、2011年のロシアのオンライン・ゲーム市場は約6億7000万ドルで、世界の3%だ。

去年は、オンライン・ゲームの中でも、マルチプレイヤー・ゲームの人気が特に高かった。ロシア人ゲーマーは、これに4億6400万ドル費やした。さらに、ソーシャル・ネットワークのゲームに1億6000万ドル、カジュアルゲームに4400万ドル使った。

ゲーム市場がエンターテーメント分野で3位に

2010年、ロシアのコンピューター・ゲーム市場は急速に成長し、中央ヨーロッパと東ヨーロッパで最大となった。2011年度末には、映画産業、コンサート産業に続き、エンターテーメント分野で3位の座を獲得した。上位3位の産業は急速に成長し、この順位は今後も維持されていくだろうと、Mail.ru Groupのアナリストは予測する。

2010年代初めのロシアのコンピューター・ゲーム市場は5億4000万ドルだったが、今後3年で15億ドルに達するとElectronic Arts(エレクトロニック・アーツ)社の専門家は考えている。

ロシアのゲーム産業の成長が、オンラインで保証されているというのは、専門家の共通した意見だ。「この傾向が見られるのは、今年が初めてではありません。ゲーム産業は時間の流れとともに、より確固なものとなっています」と、Mail.ru Groupは自社報告に記している。

ソーシャル・ネットワークのゲームも、活発に成長を続けている。2010年から2011年にかけて200%の伸びを示し、ダウンロードされたアプリは数億を数える。

オフラインのゲームの衰退

Electronic Artsのロシア現地法人のトニー・ワトキンス社長によると、2015年までにロシア市場は15億ドルに達し、うち12億ドルが、ソーシャル・ネットワーク、free2play(フリップ)、携帯電話のゲームで、わずか3億ドル強がパソコンやゲーム・コンソールのゲームになるという。

オフラインのパソコン・ゲームは、ロシアで急速に衰退している。2000年代末には半分以上を占めていたものの、昨年は23%にとどまり、今年末はさらにマイナス成長が続くと専門家は考えている。マルチプラットフォームの好調な伸びは、PSPやニンテンドーなどのゲーム・コンソール市場に負の影響を与え、スマートフォンにユーザーが流れている。

昨年、Portal 2(ポータル・ツー)、The Elder Scrolls V(ジ・エルダー・スクロールズ・ファイブ)のSkyrim(スカイリム)、Batman(バットマン)のArkham City(アーカム・シティ)、Gears of War 3(ギアーズ・オブ・ウォー・スリー)、Uncharted 3(アンチャーテッド・スリー)、The Legend of Zelda(ゼルダの伝説)のSkyward Sword(スカイ・ウォードソード)などが次々と販売されたが、大手ゲーム会社にとって、厳しい年となった。

マイクロソフトも

例えば、Microsoft(マイクロソフト)社は、2012年第1四半期の決算報告を行ったが、収益は記録を更新したものの、Xbox(エックスボックス)などをてがけている、Entertainment and Devices(エンターテーメント・アンド・デバイセズ)事業部門の業績は、思わしくなかった。

事業部門の収益は、昨年同期比16.5%減の16億ドルで、損益は2億2900万ドルほどになった。第1四半期のXbox 360(エックスボックス・サンロクマル)コンソールの販売台数は140万個で、270万個だった昨年同期に比べて48%減だった。Microsoft社の代表は、収益が減った理由について、コンソール市場の全体的な傾向だと説明している。 

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