アメリカ航空宇宙局 画像提供:http://www.nasa.gov
自国の宇宙太陽光発電所のプロジェクトに取り組んでいるのは、アメリカと日本だ。ロシアは、西と東に競争を挑むことになる。このプロジェクトには、ロシアの優秀な専門家が顔をそろえる。
日米に挑戦
「このプロジェクトでは、電力分野や電気・電子工学分野の企業や大学などからなる、独自の宇宙開発集団を組織していきたいと考えています」と、中央機械製作科学研究所のビタリー・メリニコフ氏が、国際宇宙会議で発表した。
宇宙開発集団としての活動は、効率よく進めなければならない。うまくいかなければ、ロシアはライバルに追いつく機会をすべて失ってしまうことになる。
ロシア通信によれば、メリニコフ氏は次のように説明した。「現在、宇宙太陽光発電の市場は、急速に形成されています。宇宙太陽光発電所を、アメリカは2016年までに、日本は2025年までに、それぞれ稼働させようとしています。日本のデータによれば、宇宙の発電電力は、地球上の発電電力の6分の1の価格になります」。
日本では、宇宙太陽光発電所の開発に、三菱重工など16社が結集した。SSPS(Space solar power system=宇宙太陽光発電システム)と名付けられたプロジェクトは、静止軌道上に約4~6平方キロの太陽光パネルを設置し、地球が1~1.6ギガワット受電できるようにするものである。2015年を目途に試作品を静止軌道に打ち上げ、2025年までには、システムの組立てを完了する予定。完成すれば、首都圏の30万戸に電力を供給できるようになる。このプロジェクトにかかる費用は、220億ドル(約1兆7200億円)。
宇宙太陽光発電所の建設については、資金的な問題で中央機械製作科学研究所の専門家の数が制限されることはない。発電所の開発者の世界的課題は、世界規模の電力不足を阻止し、従来の発電方法に関連する環境問題を解決することだ。
「プロジェクトの立ちあげが高額になりすぎます」
ロシアの発電所がアメリカや日本のものとどう違うかについては、一切の説明はないが、専門家によると、どのプロジェクトの基本構造も似ているものだという。静止軌道に位置する特別装置が太陽光を集め、その場でエネルギーを電力に変える。地球には、レーザー光やマイクロ波に変換して送る。ロシアの研究者は、レーザー光を選ぶ可能性が高い。
宇宙の発電所は、地球上の発電所よりも生産性が飛躍的に高いし、地球と違って日照時間や天候条件に左右されることもない。地球のこういった要因は、太陽電池の潜在的能力を75%から90%も下げてしまう。
一方で、多くの専門家は、こうした開発者の楽観的な見方に否定的だ。「電力・金融研究所」財団の上級専門家であるセルゲイ・コンドラチエフ氏は、こう述べた。「プロジェクトの立ちあげが高額になりすぎます。プロジェクトの設備投資は、従来の発電所の数十倍もかかります」。
高額になる要因は、特別な資材を使用しなければならないことと、設備のコンポーネントを軌道に輸送しなければならないことの2つある。「アイデアは優れていますが、まだまだ遠い将来の話です」。
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