砕氷エアクッション船の設計と製造開始

=タス通信撮影

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ロシア連邦産業貿易省は、新しいエアクッション型の砕氷船の設計と製造を再開する。この船は1980年代のソ連で開発されていたが、計画は中断していた。この計画は、大陸棚の炭化水素資源開発用技術の製造プログラムの一部で、新たな砕氷船は、カラ海、オビ湾、カスピ海などの浅瀬における、石油ガス採収のプラットフォームづくりに役立つ。

氷の下に空気を送って空洞をつくり、船の自重で割る 

一般的な砕氷船は、浅瀬で使用することが難しく、浅瀬用の船は、スクリューが水面近くに位置しているため、砕氷船に必要な動力が得られない。

ソ連時代のプロジェクトの作成者で設計者の一人で、国立ニジニ・ノブゴロド技術大学の学部長であるワレリー・ズエフ氏によれば、ペレストロイカ時代にすでに砕氷エアクッション船の試作品が完成していたが、その後すぐに時代の混乱が始まったという。

「この船の基本を簡単にご説明しますと、水面が氷におおわれているとして、どうやったら苦労せずに砕けるでしょうか。氷の下から少量の水をくみ上げると、氷の表面と水の間に空洞ができます。すると、水は表面の氷を支えなくなるので、氷は自然に割れていくんです」。

とはいえ、砕氷船が氷の下の水をくみ上げるわけではない。砕氷船の基底部のエアクッションには、圧入装置があり、氷の亀裂や隙間から、氷の下に空気を送り込む。水が氷を支えなくなったら、砕氷船の重みで自然と割れて行く仕組みだ。

厚さ1.5メートル以下の氷に対応 

砕氷船開発の「新段階」に、産業貿易省は9000万ルーブル(約2億2000万円)を配分した。この資金は、試作品製造と試験航行に使われる予定だ。ズエフ氏の試算では、船の価格は4500万ルーブル(約1億1000万円)になる。高いようだが、既存の砕氷川船「モスクワ」や「サンクトペテルブルク」が一隻30億ルーブル(約74億円)することを考えれば、格安の船だ。

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「これは完全に新しいタイプの砕氷船です。現在の工業力では作れる装置が限られているため、この船は氷厚1.5メートルにしか対応できません。北極海航路は規模と目的がまったくことなるので、原子力砕氷船が必要になってきます。将来的に、砕氷エアクッション船の砕氷能力は高まる可能性があります」。

石油ガス採掘会社、船舶会社、貿易会社、軍などが、潜在的な顧客だという。また、この砕氷船は、ボルガ川でも使用できるとズエフ氏は付け加えた。航行速度さえ維持できれば、この航路は国際的に活用できる。

懐疑的な見方もあるが 

ロシアの大手砕氷船建造会社である公開株式会社「バルチースキー・ザボード」(バルチック工場)は、現在再建中だ。同社の幹部は、設計部と建造部に新たな砕氷船についてのコメントを差し控えるよう、内部通達していた。

船舶会社協会のニコライ・スミルノフ副会長は、次のような慎重な見方を示した。

「最近、ロシア国内の氷域で、氷の出現がひんぱんになっています。現在、ディーゼル砕氷船、原子力砕氷船、砕氷川船、砕氷海船など、さまざまな種類があります。結論を出す前に、新たな傾向に目を向ける必要があります」。

また、「合同船舶建造会社」は、ズエフ氏の計画に冷やかな反応を示している。同社の広報部長であるアレクセイ・クラフチェンコ氏は、こう語る。

「氷を割って持ち上げるというのが、砕氷船の本質です。氷面との接触を減らすという砕氷エアクッション船のアイデアは、氷を割るための最適な方法とはなりません。ロシアは、砕氷船の建造で常に1位を保ってきましたし、現在でもロシア国内の航路では重要な機能です。しかしながら、船を使用するか否かの最終的な判断は、発想の段階ではなく、実際にあるていど建造してみてから行うのが正しいです」。

記事完全版(ロシア語のみ)