=タス通信撮影
漁業と太平洋艦隊の基地である同港は、物流の面でも地域経済の支柱になる可能性があることから、それは当然だとも言える。
北欧と環太平洋地域をつなぐ最短ルート、北極海航路を利用した貨物輸送が、急激な勢いで発展しているのだから、カムチャッカ政府の希望は十分に実現可能だ。
8月中旬に、ロシア北西部に位置し白海に面するアルハンゲリスク市で開催された、亜北極域・北極帯商工会議所協会・ビジネス・サミットの席で、北方商工会議所のアナトーリー・グルシュコフ会頭は、次のように説明した。
「北極海航路経由の船便の増加と規模は一目瞭然です。2010年は11万1000トンだった貨物輸送量が、2011年には82万800トンに急増しました。今年、ロシア海運はさらに増大すると予測しています」。
牽引車の「ノバテク」社
ただ、ロシアの北極海沿岸を通過する貨物の輸送量が、これほどまでに急激に増加したのは、主として、国内最大の独立系天然ガス生産・販売会社「ノバテク」一社が奮闘しているからだ。
同社の天然ガス・コンデンセートを積載したタンカーが昨年、北極海航路を何往復もし、ナビゲーションに「航行線を何本も描いた」ため、ムルマンスクと環太平洋諸国の間の貨物輸送量や通過速度が、次々と記録を更新することとなったのだ。ムルマンスクは、ロシア北部に位置し、バレンツ海に面する都市で、北方艦隊の基地。
「ノバテク」のヤマル半島の液化天然ガス(LNG)・プラントが創業すれば、北極海航路経由の同社の貨物輸送量は、2020年までに年間1500万~1600万トンに拡大する可能性がある。
しかしながら政府は、2020年までに、同社の液化天然ガスや天然ガス・コンデンセートの輸送量が、北極海航路全体の輸送量のせいぜい3分の1ほどになることを願っている。
法改正を受けて航路の整備に着手
ロシアは7月末、1990年代初めに定められた北極海航路水域の商船法を改正した。改正後は、北極海航路水域の統一管理システムをつくり、航海の安全確保、気象観測によるバックアップ、また砕氷船による護衛などを含む、北極海での安全航行を可能にする近代的インフラを構築することができる。
北極海航路の整備はすでに始まっている。北極海のすべての主要な航路では、ロシアのGLONASS(全地球的航法衛星システム)のみが利用されると考えられている。
さらに、「アイスベルグ(氷山)」中央設計局の専門家は、北極海でもっとも氷の厚い海域を航行できるような、新型原子力砕氷船を設計している。110メガワットの「リーデル」(リーダー)がそれだ。
「リーデル」なら、厚さ3.5メートルほどの重い多年氷に覆われた航路でも、高緯度航行が可能だ。「リーデル」の氷中航行速度と40メートルに達する船幅があれば、近い将来、北極圏の大陸棚や沿岸の油ガス田からの輸送を始める、スーパータンカーやLNGタンカーが通過できるような、航路の幅を十分に確保できる。
北極海航路の貨物輸送は、一部に懐疑論はあるものの、発展を続けている。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。