=ロイター/Vostock-Photo撮影
原潜「アクラ」がメキシコ湾に1ヵ月
タス通信によると、ロシアの971プロジェクトの多目的原子力潜水艦「シチューカB」(NATOコードネーム「アクラ」)が、6月から7月にかけてメキシコ湾に1カ月潜んでいた。2009年にアメリカの東海岸付近でロシアの潜水艦が2隻発見されたが、それ以来となる。このクラスの潜水艦は、非常に静かで、レーダーに捕捉されにくい。
これが明らかとなったのは、「シチューカB」がすでにこの地域を去った後だった。アメリカの情報サイト「ワシントン・フリー・ビーコン」の記者で、業界ではアメリカの国防総省や情報機関に近いことで有名な、ビル・ゲルツ氏が、アメリカの匿名公職者から得た情報として伝えた。
対潜能力不備→予算追加
潜水艦がアメリカの海岸に近づけたのは、アメリカの対潜システムが十分に機能していないのが原因だと、情報提供者は訴えている。オバマ政権は、今後10年で、国防費を4870億ドル(約39兆円)削減する計画を打ち出している。
ロシアの潜水艦の情報が流出した背景には、アメリカ議会の国防予算の問題があるとも考えられる。
ロシア国防省の諮問機関「社会評議会」の議長で、「国防」誌の編集長を務めるイーゴリ・コロトチェンコ氏によると、ロシアの潜水艦がアメリカの海岸に接近していたとしても、それは、北方艦隊とその潜水艦戦力にとっては通常の作戦の枠内であり、アメリカやイギリスの潜水艦も、ロシアの海岸に常駐しているという。
「潜在的敵国の海岸に多目的原子力潜水艦を接近させる任務は、潜水艦戦力の通常任務の一部だ。1990年代、ロシアはこういった軍事作戦をほぼ停止していたが、その方が問題がある。今回の件で、ロシア海軍艦隊が以前の状態に戻っていることを示したことは、至極真っ当だ」。
また、オバマ大統領が国防費を増やすように、アメリカの国内勢力が意図的に今回の問題を表面化させた可能性がある、という意見も述べた。
「ロシアの脅威が、予算問題を解決するために利用されていることは、よく知られている。アメリカの上院議員にこのような話を伝えれば、赤い布を見た牛のように反応し、愛国心の発露から、国防プログラムに追加的な予算配分を行う案に投票するのだ」。
*「ヴズグリャド」紙の元記事(ロシア語のみ)
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