北京よりまし?

=タス通信撮影

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開会式から7日経った時点では、ロシアにとっては悪夢のオリンピックだったが…。

「ソ連時代の栄光を期待してはいけない」 

“スポーツ大国ロシア”が1週間で獲得した金メダルはわずか3つで、カザフスタンや北朝鮮より後れをとった。

2014年の冬季オリンピックを控えて盛り上げようとしているロシアにとっては赤っ恥。ロシアのオリンピック委員会委員長はダメージ・コントロールに奔走し、国民に、ソ連時代の栄光を期待してはいけないのだ、と主張した。

北京で獲得した23の金メダルは、当時少なく感じられたが、今回はそれすら手が届かなさそうだった。

最後の最後にオリンピックスタジアムでいくつか金メダルの数を増やし、結局24個となって北京を上回ったものの、世界4位と記録的な成績の悪さだった。メダル獲得数は計82個、うち銀26、銅32。

とはいえ、数々のドラマとヒーローが生まれ、個々の種目をとってみれば、進歩もあった。

数々のドラマとヒーロー 

 ロシアの最後の金メダルとなったのは、男子バレーボールで、優勝候補と見られていたブラジルをマッチポイントで破った。これは最もドラマチックな金メダルだった。

 陸上の金メダル8個は記録的で、多くの感動の瞬間があった。走り高飛びでイワン・ウホフとアンナ・チチェロワが金を獲得し、マリヤ・サヴィノワは南アフリカのカスター・セメニャを追い抜き、800メートル走で優勝した。 

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強くなった柔道

ロシアの柔道チームは4年前には無名だったが、今大会は本家の日本をしのぎ、世界的に有名な柔道愛好家であるプーチン大統領を大変喜ばせただろう。

 プーチン大統領は、100キロ級のタギル・ハイブラエフが、ロシアの柔道チームに3つ目の金メダルをもたらした瞬間を、スタンドから観戦し、優勝者と並んで報道陣の前の前に立った。ロシア柔道は近年、北カフカス地方のレスリング選手に世界的な柔道コーチをつけ、優秀な結果を残している。

 ボストン生まれのイスラエル系アメリカ人のコーチ、デーヴィド・ブラットは、ロシアの男子バスケットボールチームを率いて、今大会ロシアにとって初めてのメダル(銅)を獲得した。

81対77で辛うじてアルゼンチンに勝ったスリリングな試合後、合わせて45点を挙げたフォワードのアンドレイ・キリレンコとガードのアレクセイ・シュヴェードが、ミネソタ・ティンバーウルブズと契約。

 反省点 

2週目に入り、金メダルが徐々に増え始めたものの、ロシア勢は決勝でメダルに届かなかったり、決勝にもたどり着けないことがしばしばあり、2014年冬季オリンピック・ソチ大会を前に、不安材料は多い。

ロシアが昔から強かった水泳、自転車競技、重量挙げ、射撃などの種目では、一つも金メダルが取れず、チーム全体を見渡してもスターが少なかった。

 さらに、自転車女子トラック種目で世界ランキング2位のビクトリア・バラノワがドーピング検査に引っかかって出場停止になり、テストステロンの使用を認めるなど、ロシアの複雑な過去を思い出させる出来事もあった。

ロシアの重量挙げチームも通常よりはるかに多い棄権者が出た。選手達はドーピング疑惑が出た訳ではないが、怪我もしくは「体調不良」により間際に棄権する選手が続出した。

大会運営の教訓 

ソ連崩壊後初のオリンピック大会を主催するロシアにとって、ロンドンからは見習うべきものがある。

 ロンドン大会では、7万人のボランティアがガイドや世話役や挨拶係を引き受け、大変好評だったが、ソチでも同じようなことが企画されている。ロシアでは、このようなボランティアに市民が参加する習慣はあまりないものの、志願者がすでに溢れている、と運営委員会は言う。

メドベージェフ首相は、映画監督ダニー・ボイルが演出し好評だった開会式が、ソチの開会式のインスピレーションになると述べた。ロンドンと同じく、国独特の雰囲気を取り入れ、有名な歌手などを起用するかもしれないと言う。

インターネットでは、ユーロビジョン・コンテストの優勝者、ジーマ・ビラーンの出演を求める声が上がっている。

 ロシアにとって、ロンドン大会は、大会運営の面だけでなく、競技でいかに良い成績を上げるかの点でもヒントになる。今大会では、ロシアの柔道チームは、カフカス出身の選手を起用し成功した。

ロンドンでの不本意な成績は、どんな場合に失敗するか示唆してくれる。フェンシングと射撃のコーチは、大会後間もなく辞任し、他にもそのような変化が起こるかもしれない。最近、法改正により、多くのスポーツ協会のトップを政府が任命もしくは解任できるようになったため、これからも多くの異動が見られるだろう。