モスクワ郊外に大規模テーマ・パーク建設計画

=アレクセイ・ダニチェフ/ロシア通信撮影

=アレクセイ・ダニチェフ/ロシア通信撮影

プーチン大統領は、1000ヘクタールのテーマ・パークを、ドモジェドボ地区の近くに建設するプロジェクトを承認した。ミニ・ロシアと、ディズニーランド風のテーマパークが建設され、ヨーロッパ最大のサファリ・パークをふくむという。

このテーマ・パーク「ロシア」は、予算が500億ルーブル(約1250億円)で、ロシア地理学協会が後援する。投資を募るだけでは足りないために、こういったパトロンも必要なのだ。

プーチン大統領は、プロジェクトの概要が作成された時点ですでに、国家予算以外の支援も欠かせないということをほのめかしていた。鶴の一声を受けて、プロジェクトの会議には、ミハイル・プロホロフ、ヴィクトル・ヴェクセリベルク、オレグ・デリパスカ、その他の大手国営企業の幹部ら、ロシアの富裕層が顔をそろえた。

ミニ・ロシアをつくる構想はソ連時代から 

ミニ・ロシアをつくる構想は、ソ連時代にすでに生まれており、レニングラード(現サンクトペテルブルク)郊外が建設候補地となっていたが、第二次世界大戦で立ち消えを余儀なくされた。 

1960年代、ニキータ・フルシチョフ第一書記(当時)が、このプロジェクトを実現させようと試みた。フルシチョフは、建設地をモスクワ川河岸とし、ソ連版“ディズニーランド”をつくろうと計画した。ここでも結局計画は実現にいたらなかった。

1990年代初め、ユーリー・ルシコフ前モスクワ市長が、韓国の「ロッテ・グループ」の支援を受けて、この構想を実現しようと再度試みた。

こうして長年温められてきたプロジェクトは、モスクワ郊外で日の目を見ることになりそうだ。

 

「ウラジオストクからカリーニングラードまで自転車で旅」 

面積1700万平方キロを凝縮するこのテーマ・パ-クは、訪れれば「必ず本物のロシアの旅をしたくなる」とセルゲイ・ショイグ・モスクワ州知事が自信を持っており、「ロシア全土をひとつにまとめることができる」と、自身の愛国心も披瀝した。

プロジェクトの会議の参加者は、外国のテーマ・パークをコピーするのではなく、個別の要素を参考にするのが正しいとの結論に達した。

モスクワ国立大学のヴィクトル・サドーヴニチィ総長は、中国のテーマ・パークを例にあげ、年に1回はフェスティバルを開催し、来場者が1日や2日ではなく、1週間滞在できるようにしたいと提案した。

テーマ・パーク「ロシア」の売りは、山の登山や川の遊覧など、スケールの大きなアトラクションになる予定だ。「ウラジオストクからカリーニングラードまで、“自転車で旅できる”ようなものですね」とショイグ・モスクワ州知事は説明した。

ライバルもしのぎを削る 

モスクワ近郊のテーマ・パーク建設計画は、この他にすでに設計段階に入っているものも複数あるため、厳しい競争に耐え抜くものでなければならない。

他のプロジェクトのうちの2件は、2018年開業予定の「ユニバーサル・スタジオ・モスクワ」(15万平方メートル)を中心とする複合型パーク「ガラクティカ(天の川)」(70万平方メートル)と、「レゴランド」で、それぞれ建設予定費は28億ドル(約2200億円)と、10億ドル(約790億円)となっている。

また、フルシチョフが候補地としていたモスクワ川河岸の290万平方メートルを、1000億ルーブル(約2500億円)かけて商業施設と住宅に開発するという、都市型パーク「パルク・チュデス(奇跡の公園)」の建設計画もあり、モスクワ市当局は実現を願っている。

このコンセプトは、モスクワ市の住民の投票によって選ばれたもので、開発業者は他のプロジェクトのことを何ら気にしてはいない。プロジェクトの広報担当、ナデジダ・スピリドノワさんはこう述べた。

「当社のプロジェクトには、“ディズニーランド”にはない独特のビジョンがあるので、他社の競合になるとは考えていません」。

潜在的需要はあるが… 

専門家らは、モスクワの市場が複数の大型エンターテーメント・パークを受容できると考えている。「モスクワには整備された娯楽地区がほとんどないので、今回のプロジェクトにしっかりと需要はあります」と、コンサルティング会社「Colliers International」のマクシム・ガシエフ最高責任者は語る。

外国では、これは大きな成功を収めているビジネスで、世界のディズニーランドの2011年度年間売上高は、初めてラスベガスを抜いた。

ただ専門家によれば、ロシアの場合、プロジェクトの収益に不安がある状態で、投資額が非常に大きく、回収期間が10年以上と長期になるため、開発業者がそれに耐えることが必要になるという。「ディズニーランド」や他の外国のテーマ・パーク運営会社がロシアに進出するには、現地の気候条件やプロの運営者の不在が主な障壁となり得る。

記事の完全版(ロシア語のみ)