=リュドミラ・エスピアウベ撮影
リュドミラさんはすぐにプロの写真家になろうとしたわけではなく、アジアの文化圏に属していることと望郷の思いが、まず生け花に表れた。有名な日本の小原流生け花教室で7年間学び、他の文化にはない「観照」という文化を、東京、京都、奈良で日本人から習得したことで、写真のスタイルが独特になった。
芸術のベースは日本の生け花教室
2人の子供がいたエスピアウベさん夫妻は、フランスからシンガポールに数年間一時移住した。専業主婦で家事ばかりの毎日に、生け花という癒しを見出しつつ、ここで初めて写真を撮影したのだ。
リュドミラ・エスピアウベさんの作品は、「Photographie animalière et Nature」(2011)、「Image et neige」(2012)、「Naturémotion」(2012)の写真コンテストに出品された他、「ワイルドライフ写真賞」でも複数回上位に入賞し、モスクワの写真コンテスト「金亀」の写真集にも収められている。フランスの雑誌「Nat’Images」には、定期的に掲載されている。また、リュドミラ・エスピアウベさんのサイト「Nature & Inspiration」にて、作品が閲覧可能となっている。
「シンガポールで、うちの家族の友人のアングさんから、”写真病”をうつされました」とリュドミラさんは語る。アングさんは、視野を広げるべく10日のベトナム旅行を計画し、リュドミラさんら友人を招待した。ベトナムの広大な手つかずの自然に魅了されたリュドミラさんは、思わずカメラを手に取った。
日本の鶴で開眼
2003年初め、有名なイギリスBBCの「ワイルドライフ写真賞」で3年連続で優勝した経歴を持つ、フランス人写真家のヴァンサン・ミュニエさんと知り合った際、同氏が撮影した日本の冬の鶴の写真に感動し、日本に行って自分の目で鶴を見たいと思った。
リュドミラさんは自分の芸術的才能に自信はなかったが、半専門的なカメラを持って、3週間の北海道旅行に旅立った。
「アジアに惹かれるんです。歴史、文化、人々が大好きなんです。フランスでアジア風の顔を見ると、同胞を見た時のようにホッとします」。
日本では、雪の降る中で、鶴の求婚の舞を写真に収めた。「鶴は舞う時に大きな声で鳴くんですが、一休みする時は、雪の降る音が聞こえるほど静まり返ります」。
中国・黄山で古代の世界へ
今年2月、中国安徽省に位置する黄山市屯渓区に行き、多くの中国の画家にインスピレーションを与えた黄山を撮影した。古来、「黄山の四絶」と称され、「天下の名勝、黄山に集まる」と言われた名山だ。
「疲れは感じません。十分な光と山と雲がある時、その美しさを写真に収めたいという気持ちしかわいてきません。自然に少しでも文明の手が入っているところは撮影しません」。
日本には清らかな雪と癒しの風景があり、中国は古代へと導いてくれるため、日本と中国のどちらも好きだという。リュドミラさんの作品には、ロシアや母国のアゼルバイジャンはあまり出てこないが、2011年7月にアルタイ地方へ研究旅行に行き、山脈の風景や動植物の写真をたくさん収めており、今それをまとめている最中だ。
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