アリーナ・カバエワ、エフゲニア・カナエワ(写真上)などスター選手が続出する新体操はロシアのお家芸だ。 =AFP/East News撮影
ロシアの美の女神たち
2000年のシドニー大会。本命のアリーナ・カバエワがいじわるなフープのために個人総合で銅メダルに終わり、ユリア・バルスコワが優勝したように、これまでは本番で何らかの番狂わせが起きた。
ロシアの新体操選手は、美女ぞろいだ。
2010年には豪華な衣装を身にまとい、グラビア用のフォトセッションでモデルを務めたほか、11年のクロアチアでの合宿の際には水着姿を披露した。
スタイリスト、フォトグラファー、新進のモデルたちの仕事の成果は10年、モスクワでの世界選手権で発表された。特別展『勝利の美』で紹介された写真も合わせて、カルチャー・オリンピック『ソチ2014』の枠内で再び公開されことになっている。
今年のオリンピックでも、経験豊富なイリーナ・ビネル監督でさえ、なかなか出場選手を決めることができなかった。
チームの文句なしのリーダーは08年の北京五輪の覇者エフゲニア・カナエワだ。彼女はこれまでずっと王座を守っている。
問題は彼女に次ぐ選手で、10年の第1回ジュニアオリンピックの優勝者アレクサンドラ・メルクロワと、シニアの世界チャンピオンであるダリア・ドミトリエワが最近までしのぎを削ってきた。
両者とも予選会で自分をアピールしてきた。ビネル監督が最終決定を下したのは五輪競技開始の10日前だった。カナエワとともにロンドンで自分のプログラムを披露するのはドミトリエワである。
ロシアの新体操選手の秘密はどこにあるのだろうか。新体操を技術的パラメータや練習の量だけで測ることはできない。ビネル監督も大切なのは心の働きだとしてこう述べている。
「肉体的な負荷も華やかな振付も正しい心理状態に取って代わることはできません。私は最高の技とは何かということを口で説明し、例で示そうとしているのです。それは事に取り組む正しい姿勢であり、愛情を込めて行われる演技であり、時に支配されず、技を超越した次元へ至ることなのです」。
それゆえ、ロシアのプログラムは単なるウルトラCの寄せ集めではなく、いつもイメージ、エモーション、センスを重んじている。
監督にも選手にもさらに踏み込んでリスクを冒しても試してみたいという気持ちがある。
例えば、2本のリボン、2つのフープ、あるいは、ボールとフープというように、1度に2つの手具を用いた演技。ロシアの選手たちには、新しく風変わりで、いっそう目を楽しませる形での競技に挑戦する用意もある。
個人と比べて団体に出場する選手たちの技量は必ずしも高いとは言えない。それゆえに今回のオリンピックの準備にも苦労が多かった。
北京五輪の後、チームには世代交代が起こり、新人たちはトップを維持することができず、世界選手権でもグランプリでもワールドカップでも手具を落としてはライバルたちに敗北を喫してきた。
ビネル監督が 語る人物評
11年の世界選手権では、5つのボールを用いた見事な演技の後に3本のリボンと2つのフープを用いるプログラムで多くのミスを犯し、日本や中国とともに下位に甘んじた。
オリンピックの予選の段階では、このような浮き沈みが見られていた。
ビネル監督は、ロンドンから金メダルを持ち帰るため、メンバーの変更を試み、自分がチームを率いるまでに2度コーチを代えた。
シドニーとアテネの2度の優勝へ導いたワレンチナ・イワニツカヤ氏を解任し、当時ジュニアチームの監督だったタチアナ・セルガエワ氏を起用したのだ。
だが、団体2種目の行方はなおも予断を許さない。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。