=AP通信撮影
アルキッラ氏は、国防総省が航空母艦、戦車、飛行機などに数十億ドルも浪費していることを批判し、むしろ専門家に投資した方がより効果的だと指摘した。同氏によれば、アメリカは世界的なサイバー競争で、主要な国から大きく後れを取っている。
わずか2分で大手企業の情報システムに侵入
「我々は、イギリスのブレッチリー・パーク(イギリス中心部のブレッチリー市に位置する邸宅で、第二次世界大戦中はイギリスの政府暗号学校として使われていた)のような組織を築きたいのです。世界でハッキングに優れているロシア人とアジア人を採用する予定です。複数の影響力の大きいハッカーとすでに連絡を取りました。私はそのうちの一人には大手企業の社長を紹介しました。大手企業の情報システムの脆弱性を調べるためですが、そのハッカーはわずか二分で侵入できました」とアルキッラ氏は話した。
ロシアのハッカーは、いくつかの重要な約束事が守られるのであれば、アメリカ政府のために働いてもいいと考えている。ネット上で「ゼウス」というニックネームで有名なロシアのハッカーはこう言う。
「それ相応の給与と生活条件で話がきたら、仕事を受けます。僕の活動が反ロシア的なものでないことが重要なポイントです。母国の裏切り者にはなりたくありませんから。アメリカで働くことは、自己実現が可能、生活水準が高い、高度に発展した社会など、多くのプラスがあります」。
他のハッカーは、国家機関で働くことには大きなリスクが伴うものの、給与が高く、安定した仕事だと考えている。
獅子身中の虫に?
アメリカ政府は、複雑な米ロ関係やアメリカFBIによる定期的なハッカー追跡などさまざまな理由により、ロシアのハッカーと契約するのは簡単ではないと認識してはいるが、しかし、そこはそれ、○○と鋏は使いようだ。
アルキッラ氏は、国際的なサイバー犯罪者への従来の対策を批判している。
「経験を積んだハッカーを採用すれば、政治的、軍事的管理がかなり効果的に行えるようになります。ハッカーは追跡され、刑務所に送られています。滑稽ですが、非常に危険でもあります」と同氏は警告する。
米国の検察官が「史上最大の軍事コンピューター侵入犯」と呼んだ、スコットランドのハッカー、ゲイリー・マッキノンの事件をアルキッラ氏は引き合いに出した。裁判が終了したあと、マッキノンは結局アメリカに送還されたのだ。
「このような力ずくの方法を取る場合は、気をつけなければなりません。常に有効に働くとは限らないからです。これは巨大な人的資源を相手にしているわけですから。ロシアのハッカーは世界で最も進んでいる集団の一つで、2008年に米国防総省をサイバー攻撃し、国家の安全に真の脅威をもたらしました。当時、アフガニスタンやイラクの軍事作戦を担当していた、アメリカ中央軍の極秘ネットワークに侵入したのですが、過去に例のない最悪のハッキングになってしまいました」。
○○と鋏は使いよう
専門家は、「ペンタゴンのハッカー百人組」の大部分がロシア人になると確信している。「ゼウス」もこう言う。
「リストにあがっているロシアのハッカーは、アジア人よりずっと多いです。適したハッカーは十分すぎるほどいますから。自分からアピールする人はいませんが、希望があれば話し合いは可能でしょう」。
アメリカ政府は他のどこよりもハッカーを国のために利用している。アルキッラ氏は、アメリカが今年5月に同国の専門家を使って、イエメンのアルカーイダのサイトに侵入した例をあげ、外国のハッカー採用プログラムは成功すると確信している。ロシアのハッカーの実力を同氏は称賛した。
「ロシア人はサイバー市場のリーダーに違いありません。IT技術の戦略的応用を非常によく理解しています。我々と働いてくれる人に、好条件を保障することが課題です。アメリカは世界の優秀な専門家に対してはお金を惜しみませんから、我々と提携するよう説得できる自信はあります」。
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