ゴミが臭わず お金に変わる

=タス通信撮影

=タス通信撮影

ロシアの研究者は、無害かつ経済的にお得なゴミ処理方法を開発したものの、国の広さと役人の怠慢により、その革新的技術の導入が進んでいない。

ロシアでは毎年、各種データによると、4000万トンから1億4000万トンのゴミがたまり続け、その量は一人当たり285キロにも及ぶ。うち10%はモスクワから排出されるゴミだ。モスクワにはゴミ処理場が4カ所しかなく、対応能力がゴミ排出量の4分の1以下となっているにもかかわらず、ゴミを焼却する際の空気清浄にかかるコストが高額だからという理由で、新たな処理場の建設が許可されていない。

「プラズマHIT」社のイーゴリ・ラーザレフ最高責任者は、次のように述べた。「(ロシアでは)最新型のゴミ処理場でも600度でゴミを焼却しています。空気清浄設備があっても、有害物質(フランやダイオキシン)は半径20キロの範囲に拡散し、そこの住人のガン発症率は数倍にもなります」。

1200~1500度まで加熱し、無害な分子に分解 

「プラズマHIT」社は、1200度から1500度まで熱した焼却炉にゴミを廃棄する、「低温プラズマ」方法のゴミ処理設備を開発、製造している。これほどの温度になると、物質は燃えずに分子に分解し、無毒になるという。廃棄物の低温プラズマ化で得られる副次的な好影響は、エネルギー生成だ。年間1万2000トンのゴミを処理すると、4メガワットほど発電するため、その半分の電力を処理場の稼働に、残りを電力網に供給することが可能となる。

電力も得られる一石二鳥

このソリューションは、さかのぼること1970年代始め、アカデミー会員のフィリップ・ルテンベルグ率いる「科学アカデミー電気物理学・電力システム工学研究所」が、細菌兵器や有毒廃棄物の有効利用を研究していた際に、すでに発見していた。昨年、ルテンベルグ氏が自身の開発を商業化しようと思い立ち、パートナーのドミトリー・アロニン氏や複数の投資家らと「プラズマHIT」社を設立し、ロシアとCIS諸国で技術を展開する排他的権利を回復した。

現在ロシアでは、ルテンベルグ氏率いるチームが製造した設備が、サンクトペテルブルグ市郊外の処理場で稼働している。また、スモレンスク市郊外と学術都市のスコルコヴォ市領域には、新たに2カ所の処理場が建設中だ。スコルコヴォ市の処理場は、市域全体の電力をまかなえる、4メガワットの発電規模で設計されている。

世界各国の低温プラズマ法

低温プラズマ法による廃棄物処理の設備は、ロシア国外でも製造されている。国際市場では、カナダのAlterNRGとPlasco Energy、アメリカのInEnTechとPeat International、イギリスのPeat Int、フランスのEuroplasmaの6社が積極的にこの設備を販売している

建設費は従来型の15分の1 

低温プラズマ設備の価格は約700万ユーロ。空気清浄設備の付いた従来の焼却炉で、これに匹敵する処理能力をもつものを建設しようとすると、15倍の金がかかる。非常に経済的だ。

ただしロシアでは、同社の技術に対するこれ以上の需要はない。ラーザレフ氏はこう説明する。「ロシアには、ゴミが投棄された土地が大量にありすぎるのです。廃棄物を埋めるのが一番安い処分方法ですからね」。

されど水は低きに流れる… 

ロシアのさまざまな場所の地中にゴミが埋められており、モスクワ郊外だけでもすでに12カ所、総面積600ヘクタールにのぼっている(モスクワ州の面積は4万7千平方キロメートル)。1カ所あたりの面積は50~60ヘクタールあるため、3年から4年は投棄できる計算だ。

ラーザレフ氏によると、安価な価格と楽な方法を好む複数の州の州知事は、同社との提携を拒んだだけでなく、少なくとも70年間は、廃棄物が投棄された場所の近くに、生活ではなく、近づくことさえ避けるべきだという事実に目もくれない。

国内をゴミだらけにしないためにも、ロシアの政治家は遅かれ早かれゴミの処分方法について考えなくてはいけなくなるのだ。「プラズマHIT」社の技術も、将来的に選択肢の一つに上がっている可能性がある。