サンクトペテルブルク初の大規模民間開発プロジェクト

=PressPhoto撮影

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サンクトペテルブルグ市から北西約20キロに位置する、リーシー・ノース町の保養地区において、大規模な埋立地建設プロジェクト「新海岸」が着工する。予定投資総額は2500億ルーブル(約6000億円)で、2015年に完成予定の埋め立て地の広さは、370ヘクタール(現在140ヘクタール)に達する。マスター・プランを作成したのは、すでにロシアで実績を積んでいる、日本の建設設計の大手「日建設計」だ。

「メトロポール・グループ」が、自動車メーカー「モスクビッチ」(2010年解散)の工場跡地21ヘクタールを、160万平方メートルの不動産開発に利用するプロジェクトでは、「日建設計」が設計を担当している。また昨年には、ブリヤート共和国にあるバイカル空港の国際ターミナル建設プロジェクトで、設計を請け負う契約を結んだ。

サンクトペテルブルク市は、現在建設中のFC「ゼニト」のホーム・スタジアム「ガスプロム・アリーナ」で、故黒川紀章氏に設計を依頼しているなど、さまざまな日本の建築家と提携している。

今回のプロジェクトの意義などについて、「北西インベスト」社の副社長兼開発部部長のウラジーミル・ジュイコフ氏が、「ビジネス・ガイド」誌に語った。

 

- 「新海岸」プロジェクトは、サンクトペテルブルグ初の大規模民間プロジェクトですが、このアイデアはどのようにして生まれましたか。

いろんな客観的要因がありました。ダムからセストレツク市までの領域には、ところどころに小さな水系があり、浸水性、沼沢性、海岸線の汚れ、インフラ未整備などの問題が多く、開発が進んでいません。この状態を改善すべく、連邦政府と地方政府は、この領域をサンクトペテルブルクの一部に加える決定を行いました。

2009年の競争入札で、複合開発権を当社が落札しました。借用契約の条件に従い、2015年までに水害問題を排除した宅地の開発を完了させなければなりません。造成だけで210億ルーブル(約510億円)かかります。2028年を目途としているプロジェクトに、2500億ルーブル(約6000億円)規模の民間投資が行われる予定です。

このプロジェクトは住宅建設のみを目指しているわけではなく、快適な住環境の整備も含まれています。サンクトペテルブルクの近代版といったところでしょうか。富裕層ではなく、一般の人に手が届くような価格帯を設定しようとしているのが大きなポイントです。

- 埋め立て工法やその開発者について教えてください。 

ソ連時代の1970年代から1980年代初めにすでに適用されていた工法で、今回の埋め立てで何か特別な新しいアイデアが採用されたということはありません。サンクトペテルブルク南西部、ワシリエフスキー島西部、プリモルスキー区(沿海区)南部にも埋め立て地があります。

技術を考案する際に、世界の実績を研究し、以前の問題点を改善しました。埋め立ては、水力式でパイプラインを使って行います。鋼矢板護岸で水域を区切り、その中を土砂で埋めて行きます。この際、沈殿物が多少浮遊する可能性がありますが、余水処理装置で中和させます。このような技術を使用するとプロジェクトのコストがかさみますが、環境への悪影響は最小限に抑えることができます。

マスター・プランを作成したのは、実績が豊富で、環境への取り組みに熱心なことや土地の有効利用が得意なことで有名な、日本の建設設計事務所「日建設計」です。この建設ソリューションを元に、入札方式で世界の大手建設事務所が詳細を詰めて行き、優れた案が選ばれます。

- 埋め立て地はどのように開発されていきますか。 

約80%の宅地に低層建築物が建てられる予定です。ダム周辺区域には、土地利用についての規則があり、建設用地として定められている場所には70メートル以上の建物を建てることができません。商業施設の不動産は最大40万平方メートルになるでしょう。ヨット・マリーナや、全長約5キロの海水浴場もつくられます。

また、学校や病院なども建設予定で、複合開発が行われる土地は全部で510ヘクタール、住宅地は200万平方メートルほどになります。6万人が暮らせる計算です。

- サンクトペテルブルグの不動産市場にとって、このプロジェクトはどのような意味を持つのでしょうか。

「新海岸」プロジェクトはサンクトペテルブルグに限らず、ロシア全国の規模で見てもまったく新しい企画です。現在、不動産市場では建設着工数が物を言いますが、品質指標がより重視されていく転機となる可能性があります。

ロシアの開発プロジェクトは現在5年以内で完成し、回収期間が10年以内なのが一般的です。西側諸国では、複合開発にしっかりと目標を打ち立て、じっくりと時間をかけて建設していきます。このようなプロジェクトの困難な点は、政府、ビジネス、社会の関係者すべてに、均等に利益が割り当てられるようにしなければならないことです。投資回収に時間がかかってしまいますが、その代わり、投資家が最終目標をしっかりと理解してくれています。これは未来への投資なのです。

「新海岸」は、ロシアの開発分野において、新しい革命的な段階となるイメージ・プロジェクトに違いありません。

(「コメルサント」紙抄訳)