津波さながらのクラスノダール地方の洪水

=ミハイル・モルダソフ/ロシア通信撮影

 

ロシア南部のクラスノダール地方では、6日夕方から集中豪雨に見舞われ、ところによっては数ヶ月分の降雨量に相当する300ミリが一晩で降り、洪水、土砂崩れなどが発生し、現時点で死者170人以上、浸水した家屋17000戸以上という大惨事となった。被害は山間部のクリムスク市に集中している。深夜、急激に水位が最高7メートルにまで上昇し、逃げ遅れた住民が多かったことが被害を大きくした。プーチン大統領は7日に現地入りし、被害状況を視察するとともに、避難誘導体制や治水対策に問題がなかったかどうか調査するよう指示した。

 故意の放水の噂 

 最大の被害を出したクリムスク市では、急激な水位上昇は、近くにあるネベルジァエフスク貯水池からの放水によるものだと主張する住民が多い。

 とくに、同市の住民がネットに「私の父は、この貯水池で働いているが、深夜、緊急会議が開かれて、クリムスク市の南にある石油積出港ノボロシースクを救うために水門を開くことが決定された、と言っている。その結果、クリムスクがス水没した」と書き、大きな反響を呼んだ(Googleのキャッシュ)

 野党ヤブロコのセルゲイ・ミトローヒン氏も、「急激な水位上昇は、市より高いところにあるネベルジァエフスク貯水池からの緊急放水によるものだ。この貯水池には、流量をコントロールしながら少しずつ放水する機能がない」と主張した。

ロシア南部・クラスノダール地方で洪水

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 当局は火消しに躍起 

 調査委員会委員長のウラジーミル・マルキン氏は、「調査の結果、放水は少しずつ、通常の体制でなされており、水害への影響はなかった」と述べた。

 ウラジーミル・プチコフ非常事態相も、「理論的に言ってもあり得ないことだ」と噂を打ち消したが、避難誘導体制には問題があったと指摘した。

 当地の社会運動家スレン・ガザリャン氏も、ラジオ局コメルサントFMのインタビューに対して「避難勧告や誘導は一切なかった。現地で100人ほどに聞いてみたが、誰も何も知らなかった」と述べた。

 真相は?… 

 「国営道路公社」の水利施設部長ワレリー・アイゼンシュテイン氏は、ニュースサイトNEWSru.co.ilのインタビューでこう推測する。

「わずか10~15分で水位が7メートルまで上昇する原因としては、被災地より高いところにある貯水地で急に何かが起きたことしか考えられない。ネベルジァエフスク貯水池は、放水シャフトでのみ放水し、池の底からは放流しないタイプなので、一気に貯水量を減らすことは技術的に不可能だ。おそらく何らかの堤防の破損が生じたのではないか」。

現在、当局による救出、支援が行われているほか、モスクワはじめ各地でボランティアが組織され、救援物資が送られ、現地で救援に当たっている。


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