=Lori/Legion Media撮影
女性の美のシンボル
古代ロシアでは、三つ編みが若き未婚女性のシンボルとなっていた。襟足部分から編む三つ編みを、リボンや組み紐などで飾り、夏は生花をつけて季節感を満喫した。既婚女性は被り物などで毛髪を隠すのが習慣だった。今でもロシア人は、豊かな美しい三つ編みを見ると、ため息をもらす。
しかし、最近、伝統的なシンプルな三つ編みに代わり、美容師が「アウター」や「グリーク」(ギリシャ)と呼ぶ、頭部の周囲にブレイドをつくるスタイルが主流になってきた。でも、編むのが難しくない?
ネットで色んなブレイドを研究
美しいブロンド・ヘアのイリーナさんはこう言う。
「見た目ほど難しくはありません。ネットの動画でアレンジの仕方を見て、きれいなヘア・スタイルにしたいなと思ったときに、ブレイドをつくるようにしているんです」。
ロシアのネットでは、ブレイド、フレンチ・ブレイド、グリーク・ブレイド、「フィッシュ・テール」などのハウツー動画が、おびただしく紹介されている。そのうちの多くが英語で、字幕すらついていない。美への執念は言語の壁を突破するというべきか。
グリーク・ブレイドに、マキシ・スカートとサンダルを組み合わせるという、古代ギリシャの女神スタイルが、おしゃれに敏感なモスクワっ子に大人気だ。
美容業界も潤う
ブレイドは単なる流行にとどまらず、しっかりと商売にもなっている。美容学校で学んでいるオリガさんはこう説明する。
「今は、ほぼどこの美容院でもブレイドに対応していますが、ショッピング・センターのスタジオの方が価格が安いので、そちらに行く人が多いです。美容院だとブレイドが普通のスタイリングのメニューになるので、2000ルーブル(約5000円)はかかってしまいますが、ショッピング・センターなら300ルーブルから600ルーブル(約700円から1500円)ですみます」。
数脚のイスが置かれ、スタイリストが待機している小さなエクスプレス・スタジオは、ここ数年でどこの大型ショッピング・センターでも見られるようになってきた。
スタジオ「ベール」のエフゲニヤさんによると、「開業して1年になりますが、女児からお年を召したご婦人まで、幅広い年齢層の方が来られます」。
エフゲニヤさんは10分以内でスタイルを完成できるそうだが、自身のヘア・スタイルは、サイド・ブレイドにピンクの花をアクセサリーとして添えている。一日で何人の利用客があるかという質問には言葉をにごしたが、この会社のホームページには、各スタジオで一日80人から150人ほどの来客があると記されている。
流行をにらみ転職も
ブレイドは堅い職業の人までこの業界に呼びこんでいる。モスクワのジャーナリストであるアンナさんは言う。
「経済学者の私の友人は、35歳で退職してブレイドを編む仕事に就いたんですが、生活ぶりから想像するに、前より収入が増えているようです。先日、その友人も交えて大きなグループで旅行に行ったのですが、みんなの子供や女性群にリクエストされ、始終ブレイドを編む羽目になってしまいました。それだけが新しい仕事の唯一の欠点ですね」。
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