ナシェストビエ(襲来)祭(7月6日~8日、トベリ州。同州はモスクワ州北西に隣接)
=タス通信撮影
このロシア随一のロック音楽祭は、11年前に始まり、今では毎年18万人の観客が、ロシア各地から集まる145のバンドを聴き、8000人のボランティアが準備作業をする規模にまで成長した。
今年は、ロシアのベテランロック・グループ「DDT」、メランコリーな「スプリーン」、ロシアのアングラ(アンダーグラウンド)音楽の父と言われるボリス・グレベンシコフ率いる「アクアリウム」、ノスタルジックな「ブラボー」、愛国的なイーゴリ・ラステリャエフなど、錚々たる面々がステージに登場する。ラステリャエフの「コンバイン運転士」は、去年ユーチューブ(YouTube)で大ブレイクした。
「“襲来”に行くなら、ハプニングを覚悟して行ったほうがいいですよ。前、見知らぬパンクがいきなり私のテントで寝ていて。どうやら自分のテントと勘違いしたみたい」と一人の参加者は言う。
(公式サイト:http://nashestvie.ru/)
ペルミの白夜(7月1日~24日、ペルミ市。同市はウラル山脈西側に位置する)
=アレクセイ・ジュラブリョフ撮影
白夜祭は今年で2年目になる。主宰者の一人のミーシャ・オゲルさんによると、「初めの年は、ロシアのレゲエ、ヒップホップの“三首都のバトル”やマヌ・チャオ(スペイン系フランス人の歌手で政治活動家)など、テーマがいろいろありましたが、今回はロシアの国民性です」。
白夜祭は1ヶ月近く続き、その間、国際大道芸祭、サーカス週間、グラフィティ(落書き)祭や多くの音楽イベントが行われる。
夜、カマ川沿いでは盛大な花火ショーがあり、全員が古代ロシアの“川賊”の船を組み立てるのに参加し、黒い帽子をかぶり海賊気分になって、船卸しをすることができる。
「もしもペルミの白夜祭に来るなら、することが沢山あるので1ヶ月丸々滞在してください。もしも飽きたら、目と鼻の先のところに山もあるしね」とミーシャさんは言う。
(公式サイト:http://www.permfest.com/)
FERMA(農場)フェスティバル(7月5日~8日、カルーガ州、タルーサ市。同州はモスクワ州の南西に隣接)
=Press Photo撮影
「6月に彼女とモペッド(原付のバイク)で旅に出るので、“農場”には必ず寄るつもりです」とバディクさんは言う。
“農場”は小さな夏のピクニック祭だが、海外のアーティストより数倍速くチケットの売り切れる、超人気のロシアのバンドが集う。
参加者は、デザイナーが作ったテントに住むことができて、朝食のおかゆをモスクワの最高のシェフたちと並んで作れて、毛布にくるまれて朝日を眺め、ギターポップ(インディー・ポップ)のグループPompeyaやDsh-Dsh!から、ロシアの最先端の音楽まで聴くことができる。
「“農場”に来るとしたら、一晩だけ立ち寄ってみる、とか言わないこと。私も前回そう思ってたけど、帰るのは一番最後だったから」とバディクさんは笑う。
アルフストヤニエ祭(7月29日~31日、カルーガ州、ニコラ・レニーベツ村)
=アレクセイ・クデンコ/ロシア通信撮影
アルフストヤニエ祭は、建築フェスティバルで、2006年以来、年2回ずつ開催されている。しかし、建築家のためだけのイベントではない。
この祭りは、7年前に建築家・画家ニコライ・ポリッスキー(55)が考え出したもの。特別に招かれたアーティスト、デザイナーや建築家がこの草深い田舎にやって来て、自然素材(木、藁、つる、雪…)を用い、与えられたテーマにしたがって、芸術的なオブジェを作る。抽象的なものでもいいし、実用的なものでもかまわない。今年のテーマは「納屋」だ。
建築家たちは、自分たちで建てた、やはりゲージツ的な小屋やテントに住んで制作にはげむ。イベントは、建築、パフォーマンス、研究の定かならぬ境界で展開するのだ。
(公式サイト:http://arch.stoyanie.ru/ru)
ゴロデツコエ・グリビシェ祭(8月13日、セルギエフ・ポサード地区。モスクワの北90キロに位置するここには、ロシア正教有数の聖地、至聖三者聖セルギイ大修道院がある)
=Press Photo撮影
「私は中世の織物屋の格好をして行きます」と言うのは、モスクワ大学で文献学を専攻するオーリャさん。
「彼氏は素手の殴り合いイベントに参加するみたい…」。
ゴロデツコエ・グリビシェは、中世スラブを一日再現する参加型イベントだ。当時の服装をした参加者たちは、フェンシングしたり、弓を射たり、素手で殴り合いをしたりする者もあれば、鎧を交換したり、蜂蜜や白樺の樹液を飲んだり、白樺の木の皮でブレスレットや籠を編んだりする者もあり、硬軟とりまぜて盛りだくさんのプログラム。
古代ロシアの歴史を甦らせるイベントの中でも、ここの祭りは壮観だ。今年は、さらにプログラムが充実し、鍛冶屋体験をし、織り機で綿を織り、野球に似た、古代ロシアのゲーム「ラプタ」のトーナメントに参加し、射手と騎兵隊の再現バトルを観戦することができる。
(公式サイト:http://www.gorodec.ru/)
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