国立モスクワ・スリコフ美術大学卒業、 モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国 大学(ISAA)、通訳特別コース =キリル・ラグッツコ撮影 |
近藤陽子さんはモスクワに来て 13 年目。英語圏以外の国へ留学することが夢で、高校卒業後にロシアに来た。
最初のロシア民族友好大学では毎日7時間、ロシア語だけの授業があった。「外国人9人のグループでした。皆初めは辞書を指さし、片言の英語やジェスチャーなどで会話していました」。
その後、国立モスクワ・スリコフ芸術大学に転入。講義は難しいロシア語、生徒はロシア人ばかり、うまくコミュニケーションができなかった。
試験は口頭で
ロシアの大学は、冬と夏に試験がある。試験の時期は大学へ向かう電車内で一生懸命勉強をしている大学生をよく目にする。「日本では暗記して、試験は全部筆記ですが、ロシアは全て口頭です。だからロシア語が喋れて、勉強内容が頭に入っていないと答えられないんですね。これはすごいな、と思いました」と振り返る。
スリコフ芸術大学の最終試験は論文だった。論文のテーマは「浮世絵と現代日本美術、歌川正国画伯」。大学の先生方のリクエストで着物を着ての論文発表になった。
現在は、モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学の通訳特別コースで 勉強している。「本当は全部で5年かかる勉強を 、 なんと2年間に短縮してもらえ、今年夏、卒業予定です。その後、そろそろ会社に入りたいと思っています、ロシアで」と語る。
今やモスクワっ子
来た当初を思い出すと、陽子さんは笑ってしまう。「言葉が話せないので食事もロクにとれない、外は雪なのに大学寮の暖房がきかず寝袋で寝る、習慣・文化の違いのせいで友達と喧嘩になるなど、思い出せばきりがありません。」例えば、ロシアの紳士的な男性は外が暗くなったら『送ってあげるよ』と必ず言う。「日本ではそういう習慣はロシア程ではない。逆に怖くなる程」と陽子さんが説明する。
今の陽子さんはすっかりモスクワっ子のようだ。きれいなロシア語も、若者のスラングも話せる。友達も皆ロシア人。「友達の家に遊びに行ったり、招待するのが一番楽しい。今でもカルチャーショックを受けることはあるが、今は日本よりもモスクワの生活に慣れてしまった」と話す。
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モスクワ国立言語大学、大学交換プログラム、留学生特別グループ =キリル・ラグッツコ撮影 |
阿部道陽さんは大学交換プログラムで去年の9月に来た。「日本ではあまりポピュラーではない言語なので選びました。手続きも簡単でした」と語る。来たばかりの時にロシア語で出来たのは挨拶ぐらい。阿部さんが通っているのは留学生用の特別グループで、日本人がもう一人いて他は外国人ばかりだ。
勉強もパーティーも
両国の学生の特徴についてこう語る。「日本の大学の学生は基本的に、あまり授業に熱心ではない感じの人が多い。ロシアの学生もパーティーはもちろん好きだと思いますが、勉強もすごく熱心です」。
ずっと忘られない印象の一つはロシアの季節だという。「冬は雪がたくさんあって、太陽があまりないのは不思議な気候ですよね。春は花がたくさん咲いて、朝、目が覚めて窓を見ると、たくさん白い花がふわあと飛んでいて素敵です」
帰国は今年の夏になっているが、阿部さんはもう一度ロシアで留学する予定を持っている。今度はサハリン国立大学という。
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