モスクワで作家と「散歩テスト」

人気作家のボリス・アクーニン氏がモスクワ中心部の遊歩道を歩こうと呼びかけ、5月13日、そのオンライン招待状に1万人以上が応えた。 アクーニン氏は自身のブログで、モスクワ市民が自分の街を自由に歩くことができるのか、それとも何らかの特別な許可証を申請しなければならないのかを確かめることがこの散歩の目的であるとし、文学について楽しく語り合うふりをしながら、プーシキンの銅像のある地点からグリボエードフの銅像のある地点まで歩いてみようと提案した。

プーチン大統領就任式前日の5月6日以降、警察当局による反政府デモの取り締まりが相次いだが、それに対する怒りがアクーニン氏に「散歩テスト」を発案させた。「反対」していそうな通行人や、不運にも、就任日にたまたまブリヴァル環路のカフェでコーヒーを飲んでいた人などが、何の根拠もなく拘束されていった。

アクーニン氏のブログには、この主旨に賛同して参加を表明した人の名簿があり、破滅後の世界を描いた人気小説「地下鉄2033」の著者であるドミトリー・グルホフスキー氏、反政府作家で番組「詩人と市民」の企画者であるドミトリー・ブィコフ氏、ソ連の人気戯曲「ポクロフスキー門」の著者であるレオニード・ゾリン氏、「チェブラーシカ」の作者で作家のエドゥアルド・ウスペンスキー氏、多くの文学賞を受賞しているリュドミラ・ウリツカヤ氏、詩人のレフ・ルビンシュテイン氏、人気音楽家のアレクセイ・コルトネフ氏やアンドレイ・マカレヴィッチ氏など、そうそうたる面々が名を連ねた。

ここまで大人数が散歩を希望することになるとは、誰も予想していなかっただろう。「散歩」参加者は一本の歩道に収まりきれず、他の道の車道にまではみ出した。参加者の計算によれば、1万人以上が散歩したが、モスクワ警察の公式な計算では、わずか2000人となっている。また、主催者側のデータなどに基づくマスコミの報道によれば、中年から熟年の「旧知識層」が主な参加者であったという。参加者はスローガンを叫んだり、プラカードを掲げたりしてはならないという「散歩」の規則を順守し、警察当局に反政治活動の嫌疑をかける隙を与えないようにした。