モスクワ 土産再考

「モスクワのハート」の様々な商品 =PressPhoto撮影

「モスクワのハート」の様々な商品 =PressPhoto撮影

 モスクワは独自のイメージもブランドも持たず、残念ながら、物価が高く騒々しくて落ち着かない町との汚名を頂戴してきた。だが、ようやく今、心ある人々の創意で、町のイメージ作りに一役買うブランド品が考案され始めている。

 グローバリゼーションの時代には、全世界の都市が富裕層、ビジネスマン、大手企業を誘致しようとしのぎを削っており、町のイメージとブランドは極めて大事だ。その一翼を担うのが、町のトレードマークとなる名産・土産物である。

 

「モスクワのハート」

  アレクサンドル・エリゼッセルさん の会社 Babushkov は、「モスクワのハート」(http://heartofmoscow.ru/)なるブランドを立ち上げた。ブログを用いて幅広い商品を販売する方法で、この若きモスクワっ子は、わが町のハートを旅行者やロシア人自身に訴え、できるだけ多くの人にロシアの首都を好きになってもらおうと努めている。

 「モスクワのハート」のエンブレムは、紅白のストライプで彩られていて、聖ワシーリー大聖堂の丸屋根の装飾を想わせる。

 16 世紀半ばにイワン雷帝が建てたこの聖堂は、極彩色のネギ坊主屋根で「赤の広場」でもひときわ目立ち、旅行者にもおなじみだ。

 エリゼッセルさんは、冬の毛糸の靴下やミトンといったロシアを連想させるお決まりのアイテムばかりでなくメモ帳や iPhone 用バンパーにもそのデザインを施している。同社の製品は、独自のスタイルと品質を兼ね備え、モスクワへの愛情に貫かれている。

 エリゼッセルさんは、幼い頃から中心街で暮らしており、昼は交通渋滞に喘ぐものの、夜は町の静けさと美しさを満喫している。

 「モスクワが問題を沢山抱えていることは承知していますが、私はこの町が好きなのです。みんなが私や妻と同じように、ここは世界一の町だと惚れ込めば、すべてが瞬く間に一変するでしょう」。

 

マトリョーシカ風USB メモリーにスマイル

 市観光委員会も、モスクワの土産品といえば派手で不粋なものばかりではないことを証明しようと、計3万点の今風の土産品を作るために、500万ルーブル(約1390万円)を投じた。

 例えば、マトリョーシカ(木製の入れ子人形)風のUSBメモリー、市のパノラマをデザインしたマウスパッド、木製スプーンの形をしたボールペンなど。これらは、市販はされず、国際観光博覧会で配布される。

 インターネットサイト Wow Moscow (http://wowmoscow.net/)も、他では買えない土産品を提供している。ティーカップ、バスタオル、野球帽などの商品に共通しているのは、スマイルのマーク。

 さすがに、ロシアは一年中冬で暗いという『世界的』先入観は徐々に薄れつつあるものの、これからハートとスマイルが首都のシンボルとして認知されれば、マイナスのイメージもやがて過去のものとなるだろう。

 

お勧めのお土産


プリントTシャツ
 ニコライ・ラフマノフ、ビクトル・ブダンなどソ連の写真家の写真をプリントしたTシャツ。ラフマノフの写すモスクワは、政治臭がなく、詩情豊か。幻想性さえ感じられる。値段は1着約4千円。クズネツキー・モスト20番地。

オリガ・エイヘンバウム撮影

マトリョーシカUSBメモリー
 マトリョーシカとクレムリンの塔の形をしたUSBメモリー。市観光委員会が作り無料で配布している。
 モスクワの観光案内も20種類作成。うち12種類は日本語版がある。変わり種の博物館、名所からグルメまで幅広く網羅している。
 
「ロシアのブランド」
 この本(英語) には、ソ連、ロシアにま つわる様々なシンボル、マーク、イメージが満載。皇帝アレクサンドル3世が作らせたイースター・エッグ(美術工芸品)、エルミタージュ美術館、レーニンの肖像。ロシア文化の巨大な広がりを一望できる。

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