=kremlin.ru撮影
5月7日、プーチン氏は大統領に就任するとすぐに、新しい任期の目標や優先事項を定める大統領令を11件発布した。内容の多くが選挙公約と重なっているが、ここには実施期限が明記されている。
公約の実施には、GDP1.5%程度の追加予算が毎年投入されることになる。
大統領令は社会、経済、軍事の3部門にわけることができるが、優先されるのは社会政策だ。2018年までに、平均寿命を現在の69歳から74歳まで伸ばし、また実質賃金を1.4~1.5倍に引き上げる予定となっている。
年金受給年齢に達していながら、すぐに年金生活に入らずに仕事を続ける対象者に対しては年金額を引き上げるよう、プーチン大統領が指示した。モスクワのロシア経済学院(NES)のセルゲイ・グリエフ学長は、これを隠れた年金受給年齢の引き上げだと見ているが、ガイダー大学のウラジーミル・ナザロフ氏は、あくまでも任意の引き上げであると主張する。「年金制度の赤字対策の一つではあるが、うまく進めるためには、国民が仕事に残りたいと思うような刺激策が必要になる。例えば、受給年齢に達した後5年働けば、年金額が2倍になるといったようなものだ」。
また、プーチン大統領は、2018年までに国民の住宅条件改善を15年に1回以上可能とするよう指示した。そのために、抵当金が2.2%以上のインフレ率を超えないこと、一般住宅を多く建設することで、住宅1平方メートルあたりの価格を20%下げる、と記されている。
4月の抵当貸付金の平均上昇額は12.1%、年間インフレ率(2012年4月の2011年4月比)はわずか3.6%で、プーチン大統領の計算に基づけば、銀行は年5.8%以上の融資をしてはいけないことになる。建設を増やさないと、抵当金が住宅価格の高騰を招いてしまうため、建築を2倍の年間1億~1億2000万平方メートルまで拡大しなければならなくなる。
2014年までには、70%の国民が、パスポート受給や車両登録などの国のサービスを、インターネット経由で受けることができるようになる。2020年までには、5校以上のロシアの大学を世界大学ランキング100位以内に入れるようにし、2012年11月からは、高度の技能を持つ専門家を除いて、移民はロシア語、ロシア史、立法基礎の試験を受けなければならなくなる。
経済については、2020年までに生産性の高い就業先2500万カ所を整備近代化し、GDPのハイテク分野の割合を現在の11.6%から1.3倍に拡大、また2018年までには、労働生産性を2011年の1.5倍規模にまで拡大する予定だ。Doing Businessランキングでは、ロシアが2018年までに現在の120位から20位まで上がるようにする。
国の保有比率が50%以上の国営企業および国営銀行は新たに資産を取得できないとする現行法を、2012年末までに修正するよう、プーチン大統領が政府に要求したが、これはメドベージェフ元大統領も2011年に指示している。
また、10億ルーブル(約26億円)以上の国家発注事業については、公開審議の義務付けを提案している。現在このような義務はない。これにより、国家発注システムの透明性が増すことになる。
大統領就任後に、公約が撤回されることなく大統領令として正式に手続きされたことについて、グリエフ学長は歓迎している。「具体案は少ないが、予想以上の内容だ。投資環境と私有化の改善計画が確定したことが重要なポイントだ」。
グリエフ学長は、プーチン大統領がこれらの案を完遂できるかについて明言しなかった。前任期中の計画の実現率はわずか36%であったが、国民の生活水準を高め、GDPを2倍に引き上げ、国の支払能力を維持することは達成された。社会制度の創設、強い地方自治体、裁判制度の改革、経済の多様化および経済の競争能力の強化は実現されなかった。
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