モスクワのソビエト式カフェ

ソ連時代、労働者階級の集うところといえば、リューモチナヤという飲み屋だった。他にも人気の場所はあった。ピロシキ屋、ペリメニ(ロシア風水餃子)屋、ブリヌイ(ロシア風クレープ)屋、そしてシャシリク(ケバブ)屋。 内装は全く凝っていないが、こうした飾らない食事処は今のモスクワにも多くある。その中でも人気の数店から、200ルーブル以内で食べられるメニューをピックアップし、写真付きでご紹介しよう。なお、200ルーブルとは、マクドナルドのビッグマック、ポテトフライ(L)と飲み物のセットに匹敵する値段だ。

=ルスラン・スクフシン撮影

ヴォロンツォフスカヤのブリヌイ屋

  都心部に生き残った唯一のブリヌイ屋に等しい。ブリヌイのレシピはソビエト時代から変わらない。一番人気なのはジャムやバターやサワークリームのついたものだが、肉入りなど塩味系もある。さらに、サラダ2種やスープ、そして人気のペリメニもある。お酒も売っているが、持ち込みも可。ここに来るのはタクシーの運転手や出稼ぎ労働者が多いが、近くの教育大学の学生も多い。治安を心配する必要もない。向かいには警察署があり、警察官もここによくブリヌイを食べに来るからだ。

 

アイスト・カフェ

 ここは若い人向きのクラブではない。ここに集うのは、定年後の省庁職員。引退したKGBの 士官にお目にかかりたければ、ここはうってつけの場所。主な食べ物はピロシキである。具は茹でた豚肉に魚、ソーセージ、キャビアまである。だが、ここのヒットメニューは、ソーセージのグリルとグリンピースの付け合わせである。こんがりと焼けた肉汁たっぷりのソーセージを食べれば、古い街を散策する元気が出てくる。

 

ソビエト風チェブレーチナヤ 

 レトロファンにうってつけのこのチェブレーチナヤの内装には、ソビエト時代のポスターや共産党の役人などの写真が使われている。蒸留酒はないが、地ビールはなかなかいける。お腹いっぱいになるには、ピラフもしくはポークチョップを頼むと良い。

 

ヒンカリナヤNo.1

 ガーデン・リング通りのソビエト風チェブラーチナヤの真向かいにあるこのヒンカリナヤは、最近のモスクワのヒンカリ(グルジアの小龍包のようなもの)人気の火付け役である。ヒンカリの食べ方:手で中央に寄せ集められた生地をつまみ、端を噛み、肉汁を吸い取り、そこからソース(サツェベリがおすすめ)を入れ、肉汁をこぼさないように丸ごと頬張る。軽食なら4つ食べれば十分、7つも食べれば満腹になる。

 

元気回復リューモチナヤ

  おそらくモスクワ一安いウォッカとつまみである。100ルーブルあればペリメニを食べて、さらに一杯ふっかけることができる。食中毒の心配はない。品質はまともだが、他の客との接触は避けた方がいい。木曜日にはホームレスのアコーディオンとギターのライブもやっている。彼らのレパートリーはベサメ・ムーチョからソビエト音楽までと幅広い。

 

ニキーツカヤ通りのリューモチナヤ

 モスクワのリューモチナヤのなかで最も良質なところかもしれない。かれこれ20年以上この場所にある。その更に昔にも、この敷地には革命前からの飲み屋があった。ここではよく詩の朗読が行われており、時折近所のマヤコフスキー劇場の役者たちも集う。グルジア風チキンのトマト煮込み、チャホフビリがおすすめ。無濾過ビールも悪くない。クレムリンから徒歩10分というロケーションもここの利点だ。赤の広場などお決まりの観光スポットを訪れた後に、詩や演劇などロシアの芸術に触れてみたければ、ここに来ると良い。