キュレーター 、芸術評論家 エレーナ ・ ヤイチニコワさん (33)
―このように空前の規模の日本現代美術展を開催するに至った経緯は?
日本の国際交流基金とモスクワ市立近代美術館の共同企画です。日本のキュレーター保坂健二朗さんとは、アーティストの顔ぶれに関して意見の相違はありませんでした。私たちは、日本の現代美術の今をできるだけ幅広く紹介する、歴史的なイベントにしたいと思いました。
―あなたがとくに注目するアーティストは?
個人的には若手の梅田哲也さんが気に入っています。作品は展覧会の二つの部に出展されて、双方の橋渡し的な存在となっています。梅田さんは、バスタブ、電球、バケツ、扇風機など、私たちがふだん気に留めないごくありふれた生活用品を素材に制作しています。私は密かにそれを「日常の詩学(ポエチカ)」と名づけました。
―ロシアではここ数年、現代 美術 がブームのようだが?
ゼロ年代初めの第1回現代美術ビエンナーレをきっかけに人々は現代美術に大きな関心を寄せるようになり、毎年入場者数の記録が塗り替えられています。とはいえ、「こんなの私にもできる」というのが展示作品に対する大方の反応です。ですから人々の啓発に努めなくてはなりません。
―日本で大きなロシア現代美術展を開催する意向は?
もちろん、あります。東京都現代美術館チーフキュレーター長谷川祐子さんとお話しをした際、ロシアの現代美術について詳しく尋ねられましたから、将来そういうプロジェクトが実現するかもしれません。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。