タイタニック百年

タイタニックの電気メーター =Corbis/Photosa撮影

タイタニックの電気メーター =Corbis/Photosa撮影

調査8回1000時間

 4月15日で、豪華客船タイタニック号が大西洋沖で1513人の乗客乗員もろとも沈んでから、ちょうど100年が経つ。 約4千メートルの海底に眠る巨船が米仏の調査団により発見されたのは1985年。翌年には、米国の潜水艇アルビン号が調査したが、より詳細な姿は、エフゲニー・チェルニャエフさん(57)の操縦する深海潜水艇ミール1とミール2によって明らかになった。 チェルニャエフさんは、これまでタイタニックの調査を計8回行い、潜水時間は約1千時間に及ぶ。初めてミール1で調査したのは1991年。ロシア、米国、カナダの共同プロジェクトで、カナダの映画会社がドキュメンタリーを撮影するのが目的だった。 ミール1はソ連が基本設計し、フィンランドで建造された(1987年竣工)。 最深6千メートルまで潜水できる。 このクラスの潜水艇は、日本の「しんかい6500」など他にもあるが、ミールはカメラやダイバーのためのスペースが十分で、舷窓も特別大きく撮影しやすい。

暗闇に浮かび上がる残骸

 チェルニャエフさんは、これまで多くの沈没船を見てきた。独戦艦「ビスマルク」も見たし、北極の海底にも潜ったが、タイタニックの残骸を突然暗闇で目にしたときは言葉を失ったという。 錆び付いた手すり、銀のコイン、破損せず綺麗なままの食器などが見えた…。勇敢な乗組員、老若男女の乗客のことなどを思わずにはいられなかった。 チェルニャエフさんのタイタニック体験に一つの区切りをつけたのは、米国映画「タイタニック」(1997)。ジェームズ・キャメロン監督が、ミールでタイタニックの実物を撮りに来たのだ。 撮影クルーは海中で1日18時間も過ごした。潜って上がって来るだけでも5時間かかった。 映画の初公開は、ミールの母港カリーニングラードで行われ、チェルニャエフさんは心行くまで映画を味わった。 残骸を写したオリジナル映像のシーンが最高だったという。

このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は こちらを クリックしてください。

クッキーを受け入れる