極東発展の好機に

=タス通信撮影

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今年9月初めにウラジオストクでAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議(サミット)が開催され、ロシアは初めて議長国を務める。APECは21の国と地域が加盟、世界の人口の40%とGDPの54%を占めるが、そのサミットをウラジオストクで開催するロシアの狙いは、これを機に同市を現代的都市に変貌させ、アジア太平洋地域におけるロシアの主要拠点とすることだ。

会場となるルースキー島は、壮大な橋梁で大陸部と結ばれ、さらに2本の橋が湾岸に散在する地区と空港をつなぐほか、市内には新たなインフラ施設が建造される。建設費用は総額220億ドルを見込み、その40%は国家予算から、残りは国営天然ガス企業体「ガスプロム」など国営企業が負担する。

提言づくり進む

メドベージェフ大統領は昨年11月、ウラジオストクでの優先議題として①貿易および投資の自由化ならびに地域の経済統合②食料安全保障の強化③確実な輸送物流システムの構築④イノベーションによる経済成長を保障するための協力――を挙げた。

露政府にとっての主たる課題は、これらの優先議題をロシア、とりわけシベリアと極東の発展にリンクさせることだ、と関係官僚たちは言う。

優先議題に沿って具体的提言を作成する予備作業で中心的役割を果たしているのが、APECビジネス諮問委員会(ABAC)だ。

ABACのロシア代表

ロシア代表は外国貿易銀行のアンドレイ・コスチン総裁( 55 )、「ロシア・アルミニウム(ルサル)社」社長オレグ・デリパスカ氏( 44 )、「スムマ」グループ会長ジヤブジン・マゴメドフ氏( 44 )の3人。
現ABAC議長のマゴメドフ氏はダゲスタン共和国出身。「スムマ」は物流、通信、建設、エネルギー関連などの企業を傘下に収める。ボリショイ劇場改修を請け負ったのはここ。コスチン氏は、外務省出身。外国貿易銀行は資本金額ロシア1位の商業銀行。デリパスカ氏は、ユマシェフ元大統領府長官の娘婿。「ルサル」社はアルミニウム生産量で世界2位。


そこでロシア代表が強く推したのは、「技術移転基金」創設の構想。先端技術のロシアなど新興国や発展途上国への移転を容易にするものだが、西側の反対で大幅修正を迫られているという。現在は、APEC内の技術移転問題を協議するためのパートナーシップを構築し、基金は、資本金約100億ドル(約8300億円)程度に抑えるように提案されている。

ほかにロシアは、APECの枠内で食料品価格に関する情報交換システムを作り、食料安全保障を促し、市場をより透明にすることを提案している。

またロシアは、交通、物流インフラの発展に関する作業グループの設置も提案。極東およびシベリアと欧州を結ぶ輸送回廊の強化策で、露企業は年間500億ドルの利益を得られる見通しだ。