大統領選のBefore・After:見本市は終わった?

大統領選挙はプーチン氏の勝利で終わったが、問題は残っている。なぜこうなったのか、これからどうなるのか。抗議運動があれだけの盛り上がりを見せるなか、プーチン氏の支持率が逆に上がったのはなぜなのか。この勝利はどうロシアの将来につながるのか。これまでの経過の分析と今後の予想を2人の論客が語る。

 スタニスラフ・ミーニン氏

「独立新聞」論説委員

抗議運動には二つの側面があった。市民運動に関わる面と政治的な側面と。前者はそれなりの成果を収め、後者は惨敗を喫した。
12 月初め、何千という人々にとって、こう考えるきっかけが生じた。政権は、自分たちを間抜け扱いしている、我慢できない、と。それは、侮辱を許さぬためにはどうしたらいいかという問いに収斂した。
彼らは、その問いに対して政権からこういう答えを得た。「侮辱されたくないんですか? じゃあ、選挙監視員になって下さい」。
多くの人がこれを聞き入れ、時間をかけて準備し、投票所へ行って終日過ごした。そこで彼らは、不正を目の当たりにしたり、国家のメカニズムを垣間見たりして、各人各様の結論を出したが、もはや自分が侮辱されているとは感じなかった。まさしく市民の抗議行動であり、その限りにおいて決して無意味なものではなかった。

 

チャンスの空費
では、政治的側面のほうはどうだったか?
3ヶ月間に渡って、モスクワをはじめ各都市で、言ってみれば「政治的見本市」が開かれた。人々が集まり、演壇に登って何か言うことができた。聞き手も耳を傾ける用意があった。
「政治家」のなかには、古顔もあれば新顔もあった。ところが、一人残らず大失敗を演じてしまった。
誰一人として、具体的にどんな方法で権力を手にしようというのか、はっきり言わなかったし、それを分からせようともしなかった。
ロシアの政治は、数百万人を相手にしたゲームである。プーチン氏と競争するためには、数百万の票を集めねばならない。重要なのは、彼らに具体的に何を提示するのか、いかに彼らの注意を引き付けるのだ。
これが政権に圧力をかける唯一の方法である。
まだ抗議運動の潜在能力がよく見極められていなかった間は、政権は譲歩する用意があり、実際、譲歩した。政党法を改正し、デモは追い散らさず、テレビに新顔を登場させた。
にもかかわらず、新旧の「野党政治家」たちは、ただチャンスを空費してしまった。
なぜこんなことになったのか。もしかすると彼らは、適切な政治的スローガンを作ることができないのかもしれない。今のところ、自分のチャンスを生かす能力がないのかもしれない。あるいは、根本的にそうした能力が欠けているのかもしれない。
3月 
10 日にも集会があったが、人々は相変わらずの「見本市」にくたびれてきたようだ。政治セクトのリーダーたちにとっては、疲れて去っていく者たちは、臆病者ということになる。
しかし、真の政治家にとっては、彼らが去っていくことは、権力が手からすり抜けてしまったということである。

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