ロシアチョコレート

人気のパッケージ =吉村慎司撮影

人気のパッケージ =吉村慎司撮影

JR新潟駅から車で3分ほどの通り沿いに、 「МАЦУЯ」(マツヤ)と大きなキリル文字を外壁に掲げた建物がある。「ロシアチョコレートの店・マツヤ」だ。
一個一個セロファンで包まれた、長さ5センチ弱のチョコ。その真ん中は、アーモンドペーストを練り込んだクリームだったり、ペースト状にした杏(あんず)だったり、ロシアを感じさせる 
12 種類のチョコが、マツヤの定番商品だ。
マトリョーシカ風の紙箱に入ったチョコセット(1280円)も人気で、2005年に売り出して以来、いわば看板商品として安定した売り上げを誇る。
マツヤのチョコレート製造の歴史は古い。創業者・松村喜代司さんが約 
80 年前にロシア人から学び取ったレシピに沿って、家族経営で毎日作り続ける職人の店なのである。

2代目の松村稔さん( 73 )によると、先代は 10 歳の時、新潟県の長岡から上京、銀座で出会った洋菓子に惚れ、1927年ごろ、当時神戸にあった、白系ロシア人経営の菓子店(当時「モロゾフ」、現「コスモポリタン」)に入り修業した。
そこで何種類かの独自レシピを作り上げて、東京・目黒で「ローヤルチョコ」の名前で開業。しかし、1945年5月の空襲で、すべてを失ってしまった。
戦後知人の紹介で新潟市内に移住、「マツヤ」として再出発、徐々にチョコレートを増やしていった。稔さんが継承、先代のラインナップに加え、自分でも洋菓子を開発した。
10 年ちょっと前、ホームページを立ち上げ、ネット通販を開始、屋号を正式に「ロシアチョコレートの店 マツヤ」にした。今やネット通販の割合は3割という。2007年秋、今の店に拡張移転。2009年 10 月、株式会社化し、3代目の行弘さんが代表取締役に就いた。
親子3代とも、いわゆる「ロシアファン」とは違うようだ。訪露経験も「観光で数日行った程度」と行弘さん。「おいしいチョコレートをつくるのがマツヤの仕事です。私はまったくの職人なんです」(稔さん)。
株式会社としての登記名は「ローヤルチョコ」である。ロシア人に学んだ初代が目黒に開いた洋菓子店の名前である。約 
65 年の時間を経てよみがえったその名前が今、新しい歴史を刻んでいる。

「日露ビジネスジャーナル」提供記事http://www.nrbj.info/