「メード・イン・ロシア」プロジェクト

=ロシア通信撮影

=ロシア通信撮影

ロシア経済の固定観念を打ち消そうと、奮闘しているプログラマーがいる。

ロシアはエネルギー資源の輸出に頼りきり、国内生産ができないと考えるのが一般的になっている。こうした固定観念が生じているのには、マスコミの影響も大きい。消費財に関係なければ、テレビのニュースで鋳鋼品の新製品について報じられたり、雑誌で薬理学分野の成果について書かれたりすることはない。

こうした中、情報のバランスをとるべく、ネット上に開設されたのが、「メード・イン・ロシア(国内産)」のサイトである。ここでは、ロシアで生産された新製品や生産ラインの近代化、世界市場の革新、開拓、その成果などが紹介されている。

このプロジェクトを立ち上げたのは、ロストフ・ナ・ドヌ出身で現在モスクワ在住のプログラマー兼愛好家、ロマン・コヴリギン氏だ。かねてより自身のブログで、有望な生産分野があれば、それに関する記事をその都度更新していたが、情報がブログの域を超えていることに気づいた。そして2010年9月、「メード・イン・ロシア(国内産)」プロジェクトが生まれた。ユーザーコンテンツを特徴とし、希望者は誰でもロシアの産業に関する記事や情報をアップロードすることができる。

コヴリギン氏によれば、ロシアのプライドを取り戻すことが、プロジェクトの重要な課題だ。「プライドや、ロシアの発展を基盤とした将来への確信がなければ、前進することは難しい。労働の成果が見えてこなければ、手を止め、やる気をなくす。成果はある、努力は無駄にはなっていない、ということを示したい」。

参加者がサイトの情報を検証し、画像で証明する。信憑性のない情報や、宣伝目的の情報は採用されない。プロジェクトは参加者の寄付でまかなわれ、現時点で資金は足りている。コヴリギン氏は、時間が足りないことに頭を悩ませている。このプロジェクト以外でも、プログラマーとしての仕事を続けているからだ。

「ロシアNOW」はそのコヴリギン氏にインタビューを行った。

資源路線から移行するには、ロシアにどのような構造の変化が必要でしょうか。

「(資源路線から)既に大分以前に移行されているのです。石油やガスはロシア経済の重要な分野ですから、何が悪いのかと思いますよね。しかし、ロシアの気候や距離の条件下では、石油採掘は極めて難しい課題なのです。サウジアラビアでは原油は圧力で自噴しますが、ロシアでは採掘に最先端技術が必要です。原油が勝手にパイプに流れてくると思ったら大間違いで、高度な掘削ステーションを使用しているのです。ガス・石油パイプラインの建設も、この国の条件下では複雑な技術課題です。北極圏大陸棚の採掘はどうでしょうか。ロシアは最近、『プリラズロム』耐氷プラットフォームを建設しました。北極の過酷な条件下で作業できるような、これほどまでに高度な施設は、世界のどの国も建設したことはありません。

ロシアの資源収支は全体の3分の1でしかなく、残りの3分の2は資源とは無関係の収入です。ここ数年、GDP成長率はその資源の割合より高くなっており、資源はほとんど伸びていません。石油の数字に依存しているわけではなく、逆の方向に進んでいるのです。

ロシアは産業王国です。原子炉、タービン、反動エンジン、宇宙ロケット技術、軍事技術など、世界でも限られた国にしかつくれない物を生産しています。アメリカの店の商品棚は、中国製の製品であふれかえっています。主なブランド品をどこで生産しているかといえば、中国です。でもそれは、アメリカやドイツが資源国であるという意味ではなく、消費市場の他に工業製品市場があり、それが重視されて戦略となっているだけです。スーパーで原子炉や船舶エンジンを見ることはありませんから。」

ロシアが国内市場向けの安い製品ではなく、世界市場向けの競争力のある消費者製品を生産できるのは、いつになるでしょうか。

「それは、ロシアが国内市場の需要を満たした時に実現します。ロシアの輸入量の約半分は自動車や設備関係で占められており、うち半数以上が企業、製造ライン、作業用、工作機械といった設備投資のための輸入で、数百億ドルの規模です。国内市場のハイテク製品が不足していることを意味しているわけで、これでは自分たちに必要なものを海外に輸出することはできないでしょう。例えば去年、飛行機の生産量が記録を更新しましたが、すべての機械で更新するには、とにかく働かなくてはなりません。

ここ10年で、ロシア製技術製品の輸出量は2.5倍に増加しています。ロシアの工業用レーザー、走査型顕微鏡、船舶シミュレーター 、ナビゲーション設備などは市場で需要があります。ボーイング社やエアバス社に製品を納品していますし、フランスは打ち上げロケット『ソユーズ』を数十機購入しています。ロシアは軍事機器販売で世界第二位です。」

コヴリギンさんご自身は、どのようなロシア製品をお使いですか。

「ロシア製なら買うというスタンスで買物をしているわけではありません。価格と品質のバランスが重要なのです。幸いなことに、自分が持っているロシア製品は、この点で他より優れています。可比価格で中国製品より品質が良く、可比品質でヨーロッパ製品より安いのです。」

公式サイトはこちらで:http://sdelanounas.ru/