「モスクワ・シティ」=イリヤ・ワルラモフ
「シティ」の建築コンセプトは、ソ連功労建築家ボリス・トゥホールが考案した。複数の摩天楼をU字型に配し、そのラインの初めから終わりへ高さが段階的に増していくようになっている。そして、U字の中央には、すべての建物の低層階を束ねる公共スペースが設けられる。
大株主は
エリツィン・ファミリー
昨年2月に「ストリーム∞」社は、フェデレーション・タワー西棟のマンション分譲を開始し、1m 2 当たり約50~100万円の価格で、2万 m 2 分を2ヶ月で完売。レンタルも可能で、「キャピタル・シティ」タワーでは、185m 2 のマンションがひと月約150万円で賃貸される。 建物の耐火性は4時間。梯子車は地上40mまでしか届かないため、上層階の住民はその間に自力で避難することになる。
建設用地として、モスクワ河畔の旧工業地帯の一部約 60 ヘクタール が割り当てられ、1994年 着工した 。
モスクワ市政府も参加する資産運用公開株式会社「シティ」が創設され、インフラの保障、「セントラル・コア」の建造、摩天楼の建設用地の販売を手掛けてきた。同社の株は、元大統領府長官ワレンチン・ユマシェフ氏が 49 ・ 58 %、その娘婿である「ロシア・アルミニウム(ルサル)」社社長オレグ・デリパスカ氏が 34 ・ 34 %保有している。
建築にはノーマン・フォスター氏や菊竹清訓氏など外国の著名建築家も多数参加、フォスター氏は高さ612.2メートル以上の「ロシア・タワー」、菊竹氏は超高級マンション「パラダイス・リビング」を考案している。(菊竹氏は竣工を待たずに昨年 12月に他界)
出典:mos-city.com
経済危機の波紋
しかし、2008年の経済危機により、シティ建設に携わっていた建設会社は資金繰りが苦しくなり、建物が一時作業中断を余儀なくされたり、膨大な建設資金が行方不明になったりするケースも出てきた。
「ロシア・タワー」建設はとりあえず2016年まで凍結されている。
これに次ぐ高さの「フェデレーション・タワー」を建設し ていた、セルゲイ・ポロンスキー氏率いるミラックス・グループは突如、社名をNazvanie.net「名無し」に変え、計画倒産を疑われるといった椿事も発生した。
「名無し」社はその後さらに「ストリーム∞(無限大)」とまた珍妙な名前に替わったが、債権者と株主に対するすべての義務は履行すると約束している。
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