アジア太平洋地域におけるロシア

=AFP/East News撮影

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親米路線を避けたロシアが中国の「属国」になる必要はない

アメリカがアジア太平洋地域に関する新戦略を宣言し、米中関係の緊張の高まりが感じられる。中国の次期最高指導者とされる習近平氏が今年2月に訪米した際、全日程を滞りなく終えたものの、現国家主席の胡錦濤氏よりも中国の立場を厳しく堅持していく意向が伺えた。

アメリカはここ10年、中国との関係を、引き込みとおだやかな食い止めとの間でバランスを保ってきたが、食い止める方向へと動きつつある。とはいえ、世界のこの二大経済大国の冷戦に関する話は出てこない。相互依存関係が大きすぎるからだ。東アジアの全面的な軍備拡張競争についても、話はまだない。中国は海、空、陸の3領域で力をつけてきており、脅威を感じている隣国は軍備拡大したり、アメリカに支援を求めたりしているが、勢力不均衡に関する話が出るほどには、この地域におけるアメリカの軍事的優位性は衰えていない。

2011年に東アジアサミットの参加国となったロシアは、9月にAPECをウラジオストクで開催するなど、アジア太平洋問題への関与をより深めている。この地域における自国の政策で、利害の保護と発展だけを考えるわけにはいかなくなった。ロシア政府には重要な問題が山積し、判断を一歩誤れば大きな代償を招きかねない。中国とASEAN諸国の間で起きている南シナ海領有問題で、ロシアはどう対応すべきか。日本が管理している東シナ海の島々に対し、中国が領土権を主張していることについて、ロシアはどのような立場を取るべきか。ロシアの優先的戦略パートナーであるインドは、中国を自国の安全上、最大の脅威であると明言しているが、ロシアはこの二国間関係でどのような線引きをすべきか。

アメリカ、中国、ロシアの三国間関係さえ明確にすれば、立場を定めるのが楽になっていく。アメリカがロシアの大きな脅威だと考えるなら、アメリカの世界的な主導権に対抗するために、中国は重要な同盟国となる。ここ20年ずっと語られている多極化世界の第一弾が始まりつつあると考えるなら、それは正さなくてはならない。多極化世界において、中国はアメリカに譲っている部分が大きいものの、その極の存在感は強大で、ロシアは隣で小さく見える。アメリカの弟分となることを拒んだロシアは、中国の「朝貢国」に変わる必要はない。ロシアは隣国として、中国との同盟協力関係を緊張させることなく、あらゆる面で発展させながら、同時に軍隊も含めた隣の大国の成長を注視していく必要がある。