=ロシア通信撮影
2011年の下院選挙では、多数の不正投票や選挙違反があったと報道されており、このことが正当な選挙を求める政治集会を引き起こし、社会的動揺につながった。こうした不正への疑惑が、一部のロシア人市民運動家の間で、2012年の大統領選挙のボランティア選挙監視員になろうとする動きを活発化させた。
キーラ・トゥヴェルスカヤさんは、選挙中の詐欺行為の防止を目的とする草の根有権者団体「ゴロス」の選挙監視員を務めた。「私たちは、少なくとも8か所の投票所を巡回しなければなりませんでした」と彼女は語った。「私たちに課せられたのは、投票所において監視員の任務遂行を妨害したり、同じ有権者が複数の投票所を巡って投票する「メリーゴーランド」行為などといった違反が行われるかどうか、監視することでした。実際、ある投票所では、有権者数に関する情報を、郵便投票者と永住登録を持たない投票者数も含めて収集しなければなりませんでした。ほとんどの投票所では、およそ2000人から3000人の有権者が票を投じました』」。
投票所での不正行為について尋ねると、共産党の選挙監視員が投票所に入るのを妨害されたことがあった、と彼女は主張した。「その投票所の選挙管理委員は、共産党からの監視員はすでに来ていると説明しました」と、彼女は付け加えた。「私自身は他の監視員が投票所に入ったり、ビデオ録画したり、写真を撮るのを妨害されたところは目撃していません。とはいえ、ある投票所で録画をするために、選挙管理委員会の委員に、いわゆる許可申請書に記入するよう求められたことはあります。さらに、私たちは、永住登録を持っておらず、実際にはその投票所での投票資格はない、不審な若者の有権者を何人か見かけました。彼らは投票中にかなり緊張しているように見受けられたので、これはちょっと怪しいと思いました」。
ロシア国立人文大学のレーシャ・リャプツェヴァさんも、第1210投票所で選挙監視員を務めた。彼女は、自分が監視した投票所で、親類の票を投じるという名分で、有権者に2枚の投票用紙を配布している選挙管理委員がいたことに、困惑を感じたという。「女性が投票所に来て、夫の分も投票したいと申し出てきたときには、少々驚きをおぼえました」と、彼女は語った。「しかも、選挙管理委員は彼女に投票用紙を2枚渡したのです。これはおかしいな、と思いました」。同様に、ある投票所の近くに所在する企業の社員18人が、その場所での投票資格を有していないにもかかわらず、そこで投票したときにも、少々驚きを感じたという。選挙委員会の委員は、その企業の幹部が、同社の業務が中断されなくてすむよう、社員がこの投票所で投票する許可を得た、と説明したという。
選挙監視員たちが不正行為を監視する中、若者たちは候補者に票を投じていた。
ロシア国立法学政策学院に在学中のマクシム・ルドネフ(23歳)は、「ウラジーミル・プーチンは、自分の約束を守る力強い指導者であることを実証してくれたので、彼に投票しました」と語った。「彼の言動には矛盾が決してありません。この国に安定をもたらし、地に落ちた我々のステータスを引き上げてくれた人物は、彼にほかなりません」。
「私は共産党のゲンナジ-・ジュガーノフに投票しました。適切な政策やアイディアを提示しており、野党候補者の中で最も適任だと感じたのが彼だったからです」と、モスクワ市立大学で歴史学を専攻するイリヤ・オフチャレンコ(21歳)は語った。
カザン国立工科大学で工学を専攻するアルチョム・アフタンディロフは、ミハイル・プロホロフに票を投じた。「彼は政治の大舞台では経験不足ですが、この国の無能な(政治)体制にポジティブな変化をもたらすことができる候補者は、彼の他にいないと思います」。
だが、学生の中には、投票を躊躇した者もいる。例えば、経済高等学院で学ぶアイラト・バガティウノフ(24歳)は、投票を棄権した。「ロシア大統領に値する人物が見つからなかったんです」と彼は言う。「もちろん、妥協すれば選択肢はありましたが、それでもやはり投票しませんでした」。
モスクワ国立大学でジャーナリズムを専攻するタチヤーナ(21歳)も、選挙結果がすでにわかりきっていたという理由で、投票しないことにした。彼女は、自分の力では状況を変えることができないと考えている。「投票日に私たちが目にしたことすべては、周到に画策された芝居がかった演出以外の何物でもないのです」と彼女は指摘する。「候補者それぞれが、舞台上で自分の役割を演じているだけです」。
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