ロシア中流層の政治化

危機脱出の担い手か?

ミハイル・ハージン

経済学者 

ミハイル・ハージン

ロシアの将来は中流階級次第だ。独自の政治勢力として具体的なプログラムを打ち出せるかどうかがカギである。

経済危機のせいで世界中で「パイ」(社会の富の総量)は縮小しつつある。エリート間のパイ争奪戦が激しくなるのは必至だ。
西欧では何世紀も前から、この「内輪もめ」に社会全体を巻き込むのは危険だと理解しているが、ロシアでは、それがよく分かっていない。
ロシアの中流階級は、人数的には既にかなりの大勢力だが、直接パイには手が届かないから、危機によって他のどの階層よりも多くの損失を被るので、集会に参加している。
一方、エリート層は、大雑把には、①エリツィン元大統領の「ファミリー」、②1990年代から今日まで経済政策を担当してきた、いわゆる「リベラル派」、③軍・治安機関――の3グループから成るが、前二者が危機の影響をより多く受けることになる。その彼らが中流階級を巻き込んで危ないゲームをやっているのだ。

「ゲームのルール」を作っているのは、かつて政権内部にいたリベラル派だ。現在政権にあるリベラル派は概ね、色々な形でこれを支持している。中流層を利用して、社会不安を煽り、プーチン氏に圧力をかけ、パイを確保するのが目的だろう。
中流階級は、自分たちの政党を創るべきだ。もし政党が沢山できすぎても問題ない。むしろそのほうが解決すべき具体的な課題が明らかになる。
中流階級が自らの政治組織を創り、具体的政治要求を掲げることができれば、国家のシステム全体の崩壊を防ぎ、危機を克服する展望が開けるだろう。今のエリート層は無力をさらけ出しているのだから。