不透明な世界へ

2012年の米、仏、露の大統領選挙は世界政治の行方を左右するものとなろう。米国では既に共和党の予備選挙が始まっているが、評論家らはオバマ氏の対立候補の選択が鍵を握るとの見方で一致している。いずれにせよ社会がいくつもの層に激しく分極化しているだけに、熾烈な闘いが予想される。世界システムの中心での熱い選挙は国外にも影響を及ぼそう。

「世界政治におけるロシア」誌編集長 フョードル・
ルキヤノフ 米、仏、露大統領選の影響は?

仏選挙戦からも目が離せない。状況は似通っており、現職のサルコジ大統領は不人気ながらも、社会党の対立候補の脆弱さに救われて、再選される可能性がある。選挙結果の影響は、内政にとどまらない。欧州は転換期を迎えており、2012年には将来の統合モデルを明確化する必要があるが、主要な決定はドイツとフランスによってなされるのが慣例だから、エリゼ宮の主はまさにキーパーソンといえる。

ロシアの大統領選は、つい最近まで形式的なものと思われたが、昨年 12 月から多少の波乱含みとなった。外交の観点からすると、これは大変重要だ。国内の勢力バランスの変化は、外国の対露外交の変化を引き起こし、それはまた、クレムリンの様々な反応を呼び起こしうる。かなり激しい反応も出てくるだろう。

不確実性が増したロシア

概して、ロシアの国際的地位は変わらないが、不確実性は増したと言えよう。ロシアは従来通り、自国の影響が及ばない数多くのファクターに適応していかなければならない。ユーロ圏の状況にも、米国経済の現状にも、中国の成長のテンポにも、中東情勢の推移にも。成功のカギは、対応の的確さと迅速さ、慎重さと用意周到な行動にある。

要するに、2012年は国際政治の新時代の幕開けなのだ。1980年代から1990年代にかけての西側の勝利―ソ連崩壊と冷戦終結―は、ここ 20 年間、行動の指針を西側に与えてきたが、それはもはや導きの星とはなりえない。その時代に発しているプロセスさえ、その向きが引っくり返りつつある。

例えば、「アラブの春」は確かに当時始まった民主化の波の延長線上にある。しかし、その行方は、最初の結果から判断しても、西側の価値観や社会モデルを利するものとはならない。中東における民主主義は何らかのイスラム統治の形態を模索しつつあるのだ。

EUのパラドクス

もう一つの逆説は、ヨーロッパに見られる国民の意思表示に対する恐怖である。一番アブナイのは、国民に現政権の路線についてどう思うかを訊ねることだ。欧州の官僚と政府は、EUのメカニズムのできる限りスムーズな改革と、市民の高まる不満の解消とを、いかに両立させるかにとことん頭を悩ますことになる。

米国の状況も、先行き不透明という点では同じ。オバマ氏は移行期の大統領だ。移行期というのは、従来のものが機能しないことは分かっていても、それを何に替えたらいいか分からない時期である。

オバマ氏の2期目は、移行期の延長を意味し、改革へ向けた断固たる取り組みを期待することはできまい。共和党候補が勝利すれば、よりコワモテの外交が試みられる可能性はある。

レーガン恋しや

とはいえ、レーガン・タイプの新大統領の出現はなさそうだ。まず第一に、そのような人物は見当たらず、第二に、現代の世界は、米国を含めて、かつてのレーガン氏のようにイデオロギー的な熱情で奮い立たせることができないからだ。

ロシアはとうにそうした役目を果たせなくなっており、国際テロリズムは始末できなかったし、中国との関係はあまりにもややこしく、イランは核を保有しているとしても物足りない。

したがって、レーガン的な道を歩み出す試みは、ばらばらに崩れつつある世界のモザイクを寄せ集めて、新たな米国のリーダーシップを描き出すことはできない。そういう試みで事態がよけい悪化する可能性はあるけれども。

というわけで、2012年は米国の選挙戦を注意深く見守ることにしよう。誰もがその行方に左右されるのだから。

どこへ行き着くことやら? =ナタリア・ミハイレンコ

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