高価な測位衛星「グロナス」:8年間の予算は3460億ルーブル(約8933億円)

=ロシア連邦宇宙局撮影

=ロシア連邦宇宙局撮影

全地球的航法衛星システム「GLONASS(グロナス)」を普及させるためなら、ロシア政府はいくらでも予算をつぎ込む用意がある。

 ロシア連邦宇宙局とロシア連邦経済開発貿易省は、2012年から2020年のロシア連邦特別プログラム「グロナス維持・開発・利用」を承認した。主に国家予算から3465.95億ルーブル(約8948億円)が新たに投入されることとなる。

 現在、グロナス軌道群では、衛星24基が特別任務遂行のために稼働、その他4基が予備、1基が試験飛行、2基が設計総長の下での調査にあてられている。2020年には、この軌道群の衛星を30基とし、うち6基は予備用の待機衛星にする予定だ。2012年から2020年の軌道群については、「GLONASS-M」衛星13基および新世代の「GLONASS-K」衛星22基の打ち上げがプログラムで計画されており、システムの維持に総額1468.98億ルーブル(約3793億円)が投じられる予定だ。

 グロナス開発における支出規模第2位の項目には、1382.58億ルーブル(約3570億円)が計上される可能性があり、そこには「GLONASS-K」衛星の試験飛行や、同様の衛星2基の製作と打ち上げも含まれる(483億ルーブル⦅約1247億円⦆)。2015年からは、「Geo-IK」衛星の製作費用として、39.7億ルーブル(約103億円)の資金調達が開始される。1年前に行われた「Geo-IK-2」軍事衛星の投入は失敗に終わり、「Proton-M」打ち上げ用ロケットにいたっては、2010年12月、「GLONASS-M」衛星3基をのせたまま、ハワイ沖の太平洋に沈んだということもあった。

 2012年に地上管制局が近代化され、ロシア国内外で測定ステーションのネットワークは拡大される。 

南極にはすでに3箇所の測定ステーションがあるが、4箇所目の設置が検討されており、最終的に南半球を網羅できる計算となる。北半球については、ロシア国内にすでに19箇所のステーションがあるため、充足できている。グロナスの開発枠では、2015年から新たな地図の作成のために、宇宙・地図製作システムが製作され、衛星2基が打ち上げられる(152億ルーブル⦅約393億円⦆)。

GPSシステムとの根本的な相違点は、グロナス衛星がその移動において地球との軌道共鳴(同期軌道)がないことにあり、安定性が大きく確保される。

 政府のシステム関係者によると、グロナスはアメリカのGPSに十分対抗できるものとなる。「5年でグロナスの精度が2.8mまで整えられます。GPSの指標は1.8mです。」2020年までには、GPSの指標を超えるとのことで、アメリカが0.7mとなるのに対し、ロシアは0.6mまで高められるという。

 グロナスの使用枠では、地図の作成と更新のために101.52億ルーブル(約263億円)が配分され、うち60億ルーブル(約155億円)が更新費用となる。これまでのロシア連邦特別プログラムでは、縮尺1/10000の市町村地図や縮尺1/50000のロシア全土地図など、デジタル式ナビゲーション地図が作成されていたが、今後は地図の縮尺定規を拡大し、その他の市町村や地図のポータルサイトも作成する必要がでてくる。ロシア連邦登記・台帳・地図作成監督庁は、地図制作衛星を2基打ち上げることも提案している。地理情報システム供給業者「DATA+」アレクセイ・ウシャコフ最高責任者は、規格統一されたナビゲーション地図の作成方法が必要だと考える。また、連邦特別プログラムで発表されている地図の作成には、資金が足りなくなる可能性があることも指摘した。ロシア連邦登記・台帳・地図作成監督庁の職員も、資金が実際に少ないことを認めた。1平方キロメートルの地図を作成するのに、ロシアが7米ドルを投じるのに対し、アメリカは116米ドルを計上している。

 新しい連邦特別プログラムは、グロナスを一般市民が利用することを目的としている。その条件を整えるために、150億ルーブル(約388億円)が割り当てられる。また、「特別ユーザー」仕様のグロナスにも、85億ルーブル(約220億円)が投じられる。財政融資の規模から判断すると、ロシア国防省はロシア連邦宇宙局に続いて第2位となる。