ツーリズムと面白グッズで1億ドル

ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、そして外国の国々で、約360店舗が店を開いている。=コメルサント撮影

ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、そして外国の国々で、約360店舗が店を開いている。=コメルサント撮影

アレクサンドル・クラフツォフ氏は、旅行用品と土産品のビジネスを立ち上げ、大成功を収めている。

 「ルーヤン」社と小売りブランド「エクスペディション」のオーナー、アレクサンドル・クラフツォフ氏は、チリを旅行中に土産物店で滑稽な男の人形を見つけた。ひもを引っ張ると、小さなペニスが立つ。彼はその人形を買ってインドネシアの工場に送り、マロース爺さんの姿をさせた同じ人形を1カートン製作するよう依頼した。お正月向けの人形だ。「さらに発注するかどうかは後で決める」とクラフツォフ氏は言う。

 これは「エクスペディション」ビジネスを理解するための鍵になる話である。旅行用品は小売売上金の50%以上で、その以外はクラフツォフ氏が「ファン(面白)グッズ」と名付けている商品だ。面白いアイデアや品物を丹念に探し、的確な物流管理を行うことによって好成績をあげている。

 現在、「エクスペディション」の看板のもとで、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、そして外国の国々で、約360店舗が店を開いている。「ルーヤン」社も北方料理レストラン3店やサウナを管轄し、毎年、耐久カーレース「エクスペディション・トロフィー」を開催している。年間売上高は1億ドル近くになり、採算性はほぼ20%だ。

=コメルサント撮影

クラフツォフは旅行市場と土産物市場

の接点でビジネスを立ち上げることにした。

 「エクスペディション」社の創設は2005年。起業家のクラフツォフ氏は、地質学から学んだ原則を適用した(彼の専攻は地質学だった)。鉱物探査の際には、さまざまな調査結果を反映させた、同じ地域の地図を何枚も重ね合わせ、輪郭が交差する地点でボーリングが実施される。それを応用し、彼は旅行市場と土産物市場の接点でビジネスを立ち上げることにしたのだ。

 こうした風変わりなポジションで臨んだため、このブランドは文字通りの意味で、競争から外れた動きをすることになった。「エクスペディション」は、本筋のツーリズムから遠い顧客をターゲットにした、と専門家らは分析する。

 「エクスペディション」ブランドの全商品とサービスをクラフツォフ氏は、「エクスペディションの前後」、「路上グッズ」、「ファン(面白)グッズ」の三つに分類している。第1のカテゴリーに入るのは、思い出と印象の交換で、これが大衆を「エクスペディション」チェーンのレストランに呼び込む。

 「路上グッズ」というのは、日常生活でも使える旅行用品(携帯マグカップ、食器類、懐中電灯など)である。「ファン(面白)グッズ」というのは、有名なオレンジ色のロゴ入りサッカー・ユニフォーム、<エクスペトロ>マークの玩具、(非常条件下の)セックス用品などである。

 土産物・娯楽品の部門は、スパイ活動みたいなものである。「我々はプロフェッショナルに盗み見するのが好きで、他所の穴場で手に入れた知識を自分のところに生かす。新製品の考案には時間や力は使わない」とクラフツォフ氏は説明する。たとえば、香港のレストランに行った際には、そこで氷細工のインテリアの部屋を見つけた(客が寒さに震えないように、毛皮のマントを渡していた)。彼は同じような部屋を、自分が経営するレストランの一つに作ろうとしている。「エクスペディション」の商品の80%は、程度の差こそあれ、産業スパイ活動の賜物だと、クラフツォフ氏は断言する。

 空前の成功を収めているが、「エクスペディション」チェーンは、宣伝にまったくお金を使っていない。宣伝の中心は、自社製のTシャツだ。「エクスペディション」のオーナーは、やはりブランドが定期的な品目の刷新に大きく依存していることを認める。店の売上げの35~40%は新商品なのだ。しかし特に客に好まれた商品は、3~5年は人気を失わない。関連市場のライバルらは、「エクスペディション」の成功の秘訣は、入念な品揃えだと確信している。

 しかし、クラフツォフ氏は今後の展望を、テーマの拡大ではなく、地理的な拡大と見ている。今彼が関心を向けるのは外国市場だ。2011年11月に、「エクスペディション」の商品は、シンガポールとオランダの商店に登場した。