プーチン大統領候補、経済構想を発表

=タス通信撮影

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『新しい経済の必要性』

『新しい経済の必要性』:ウラジーミル・プーチン(「ヴェドモスチ」紙)

 我々は世界経済の重大な転換期に生きている。こうした状況下においては、経済の安定的発展を確保し、危機から国民を最大限に守ることが重要だ。

グローバル経済におけるロシアの位置づけ

ロシアの国内総生産(GDP)の4分の1以上は、ガス、石油、金属、木材、その他の原料生産物の世界市場での売却によるものだ。ロシアは現在、他の多くの国々以上に、強く世界経済と結びついている。

我々はまさしくそれ故に、世界貿易機関(WTO)に加盟した。我々には、競争力のある産業とインフラ、発達したサービス分野、能率的な農業を備えた新経済が必要だ。

技術的後進の克服

我々は一方的な技術依存を克服できるような解決法を探求せねばならない。ロシアは原料供給国、エネルギー保持国としてだけでなく、少なくとも数部門においては常に先進的技術の所有国としても、世界経済において重要な位置を占めねばならない。こうした技術に属する世界総生産の割合は増大しており、原料商品や伝統的サービスの割合は減少していくだろう。技術面のリーダーシップを取り返すためには、入念に優先順位を決めねばならない。その候補となるのは、薬剤、高技術化学、複合・非金属材料、航空産業、情報伝達技術、ナノ技術などの部門だ。

「ロステクノロジーズ国営持株会社」、「ロスアトム(国営原子力企業)」から統合航空機製作公団、統合船舶建設公団にいたるまでの、大規模国営公団や垂直統合型持株会社の創設などは、まさしく我々の産業優先政策によってなされたものである。

それらの一部はひき続き持株を売却していき、公開会社に変わるだろう。

「ロステクノロジーズ」、「ロスアフトドル(国営道路公団)」、「ロスアトム」の民営部分、そのほか一連の国営公団がそれにあたる。

2016年までに原料公団における国家の参加割合を低下させ、自然独占や国防に関わるもの以外は、国家が大手の非原料会社の資本から引き揚げるプロセスを完了できると考えている。

ロシア経済のイノベーション(技術革新)サイクル

経済がイノベーションを求める主要条件は競争の確保だ。競争のみが個人企業をより優れた技術処理の探求と製品の革新に向かわせる。ロシア経済はイノベーションを買うことができるだけでなく、それを生み出すこともできる。国民の高い教育水準、基礎科学の莫大な遺産、工業学校の存在、多くの部門で存続している熟練生産基盤、― 我々はこうしたファクターをすべて作動させねばならない。

この数年間、我々は応用開発の商業化の研究に多大な精力を注いできた。「ロスナノ」社や「ロシア・ベンチャー・カンパニー」社がそうした活動をしており、「スコルコヴォ」プロジェクトも、すでに西側の多くの会社を参加させている。しかし販売を学ぶだけでは足りない。経済の安定的なイノベーション成長には、絶えず経済に新しいアイデアが送り込まれることが必要だ。

わが国の経済のイノベーションの復興は、基礎科学の中核であり人材育成の基盤である大学から始めなければならない。わが国の最高学府の国際的競争力は国家的課題であるべきだ。イノベーション・プロジェクトに背を向け、研究や熟練設計者の仕事に背を向けている、大規模資本の惰性を克服せねばならない。現在、国家が参加する47社が、イノベーション・プログラムを採用した。しかし、民間企業もその総収入の3~5%は研究と開発に向けるべきだ、ということを学ばねばならない。

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資本をどこで手に入れるか

新しい生産活動や新しい職場を創る主たる源になるのは、個人の投資だ。しかし、投資の魅力という面では、我々は競争相手の国々に後れを取って

いる。わが国には、莫大な資本流出という現状がある。

資本の問題を解決するためには、何をしなければならないのか。

第一に、国内市場規模の拡大だ。それは直接投資にとって、国内市場をより魅力的なものにするだろう。この面で現在、我々は可能なことはすべて実行している。我々はソ連崩壊後、宣言や意向表明から、現実の集積へと姿勢を変えた。この数年に、関税同盟、統一経済圏、CIS自由貿易圏が形成された。

第二に、国内のビジネス環境が長期投資にとって、まだ十分に魅力的であるとは言えない。過去数年間に、メドヴェージェフ大統領の発案により、我々はこうしたビジネス環境を改善するための改革に着手した。だが、今のところ司法権競争に負けており、ロシアで活動するビジネスは、しばしば所有権や売買契約の登録を国外で行うのを好む。主な問題点は、透明性と社会監督度の不足である。これは関税・税務官庁から、裁判・司法制度にいたるまで同様だ。その解決策は、経済政策面にあるのではない。我々は国家自体を変え、ロシアの行政・司法権力を変えなければならない。

第三に、国民の資金が資本市場でほとんど機能していないことだ。国民の資金を投資に引き入れるプログラムが必要だ。それは長期のプロセスであり、直ちに効果が出ないことを恐れる必要はない。わが国にはそれを成功させる条件が整っている。つまり、自分のお金をより上質の医療サービスに、よりよい住宅に、より高い年金につぎ込もうとする中流階級が急速に成長しているのだ。

国家の課題は、国民のお金が灰に帰することがないようにすることだ。

経済における国家の役割の縮小

我々は、経済における国家の役割がまだかなり大きいという点で、また、その介入の手法が優れた例に比べて後れているという点で、多くの他の国々と異なっていることを理解している。わが国の経済政策は、国家調整の規模を縮小させる方向に修正されていかねばならない。

国営会社による新たな資産の獲得を制限しなければならない。「大物たち」は民間ビジネスの正常な発展を妨げてはならないし、もっとも収益のある

プロジェクトから民間企業家を締め出してはならない。

発展のマクロ経済的条件

長期資金の形成には、経済参加国が数年先までのマクロ経済の安定を確信することが重要だ。

第一の課題は、国家収支の長期的均衡の回復だ。危機の時期には大量の資源が外的衝撃の緩和に割り当てられ、収支関係が弱体化した。この事態は危機の深刻な悪影響を受けた諸国のほとんどに生じた。EU諸国や米国のネガティブな経験が、経済的見地からも、社会的、政治的見地からも、予算均衡の破たんがいかに危険であるかを如実に示している。ロシアでは、国家収入が石油・ガス価格に高度に依存していることによって、問題が複雑化している。

また、最近の世界経済、ロシア経済の歴史から得た教訓を常に思い起こし、借入予算の実施は非常に慎重であらねばならない。莫大な借金は景気の悪化が生じても、投資家や国際機関や借款提供国が、政府に対してどんな措置をとるべきかを左右し、国を従属させる状況を常に作り出す。この見地からロシアは現在、たとえばG20(主要20カ国・地域)中、国家の借入金がもっとも低いレベルを保っているなど、他の諸国と比較して有利な立場にある。したがって我々はこの優位を、マクロ経済の安全の抵当として保持しなければならない。

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