―お酒、夜間宅配します

酒類販売の制限=ロシア通信撮影

酒類販売の制限=ロシア通信撮影

新生ロシアでは長きにわたり飲酒は全き自由を謳歌してきたが、ここ二年、政府はこれに歯止めをかけ始め、夜間は15度以上の酒類を購入できなくなった。 しかし、人々はこれに慣れていない。このあいだ知り合いの男性の家へお客に行くと、床にウォッカが1ケースあるので思わず「何これ?」と訊ねると「22時以降は強いお酒は売らないので、ストックしてるのさ」とのこと。 酒類販売の制限に関する法律は、住民サイドからの抵抗のほか、小規模ビジネスの発展というもう一つの意外な反応を促した。国内のすべての大都市で、酒類の夜間配達サービスが盛んになり始めたのである。なかでも魅力的なのは例によってモスクワだ。本紙は或るそうした会社の創業者に話を聞いた。

―なぜこうしたサービスは儲かるのか?

  「いろいろ分析した結果、この種のサービスを始めるには、最初の段階では少々の設立資本と車とソーシャル・ネットワーキング・サービスの広告に関する知識のほか何も要らないことが分かりました。そして法の抜け穴のおかげで、このビジネスは事実上合法です。私たちはお酒を売っているのではなく、それを“プレゼント”しているのです。私たちが売っているのは、飲酒に付随するもの、つまりジュースや水なのです」

―サービスはいくらくらい?

 「日中に普通の商店でちゃんとした酒類を買うよりも少し高いだけです。私たちはお酒を飲むために必要なものを揃えて酒類を夜間に直接家へ届けています。国産品には偽造品が多いので輸入物しか扱っていません。最も安いのは650ルーブルで、これは半リットルのウイスキー、ウォッカあるいはベルモット酒です。けれども宅配を承っているのは1300ルーブルからです。

 わが社は社会的責任を弁えており、酔っ払った人にはサービスをしていませんし、同じところへ一晩に二度配達することもありません」  

―これはあなたが手掛けた最初のビジネス?

 「この3年間に私には5つの様々なプロジェクトがありました。けれども、それらはみな、カネやコネなしに何かを手に入れるのは至難の業だというロシア・ビジネスの厳しい現実にぶつかり、構想の多くは今も宙に浮いたままです。しかし、今日アルコール飲料をめぐる状況はビジネス・チャンスであり、それをうまく利用しない手はありません!」 

―あなたの専門は? 

 「マネジメントです。大学卒業後は品質管理の仕事に携わるはずでした。けれども今、私は大学院の精神文化学講座で学んでおり、私の学位論文のテーマは音楽の様式の研究です。音楽は私の生甲斐であり、そのためにお金が必要なのです」