クリスマスと新年のモスクワ

新年祭=ロイター通信撮影

新年祭=ロイター通信撮影

ロシアでは早くも新年ムードが漂いだしている。当地では正月とクリスマスの準備は欧米より少し遅く始まるが、その代わりずっと長く祝われるからかもしれない。

マロースじいさんと雪娘


主役は「マロース(厳寒)じいさん」。その名の通り、寒さの人格化。古くから東スラブの民話に現れる。この小柄な長いあごひげをしたじいさんは、100年ほど前に西欧のサンタクロースのイメージと混ざり合った。

大晦日の夜がくるとじいさんは、トロイカ(三頭立ての馬車)に乗り、プレゼントを配りに出かける。でも、サンタクロースと違って彼にはお供がいる。孫娘の「雪娘」だ。ロシア民話では、雪で作られ命を吹き込まれた少女。それがじいさんの孫娘としていつもペアで出てくるようになったのは、ソ連時代のことである。

郵便番号162350、ボログダ州、ベリーキー・ウースチュグ市、ビノグラードフ通り4番地。

1999年から二人はこの住所の家に住んでいる。モスクワから北東900キロの地点だ。ユーリー・ルシコフ前モスクワ市長がなぜかこの地をマロースじいさんの生まれ故郷とすることを提案。そして、地元当局と共同で二人の家を建て、観光地化したのだ。子供がここにじいさん宛に手紙を出せば、ちゃんと返事をくれるはずである。

スターリン時代に定着

ロシアへのクリスマスツリー伝来は約300年前。欧州からピョートル一世(大帝)が運んできた。

ロシア革命後、ソ連では従来のユリウス暦に代わりグレゴリウス暦が導入され、1月7日(旧暦の 
12 月 25 日)にクリスマスを祝うようになった―自宅でこっそりと。

数年後、「無神論的クリスマス」として1月1日を祝う決定がなされた。1937年、モスクワの同盟会館で催された新年祭(ヨールカ祭)には、マロースじいさんが雪娘と初めてペアで現れた。スターリンの大粛清が吹き荒れたのはこの年だ。



大晦日に結婚相手を占う

それ以来、正月は一年で最も大きな祝日となっており、大晦日は、家族でお祝いのテーブルを囲み、新年を告げるクレムリンの大時計の鐘をテレビで聞きながらシャンパンで乾杯するのが慣わしだ。

ソ連崩壊後ふたたびキリスト降誕祭が市民権を得て、毎年1月7日にかけての夜には全国の教会でミサが営まれている。

ロシアの迷信によれば、占いに最適なのがクリスマスイブ。乙女たちは、枕の下に櫛を入れて寝る。彼女たちは未来のフィアンセが夢枕に立つと信じているのだ。
クリスマスイベント情報
 
マロースじいさん登場
ロシアのクリスマスの主役:マロースじいさんと雪娘 =タス通信撮影
ロシアのクリスマスの主役:マロースじいさんと雪娘 =タス通信撮影
 
毎年12月24日に、マロースじいさんはモスクワに華々しく登場する。これは芝居仕立ての一大ショーとなる。この日、赤の広場には、ツリーが立てられる。ロシアで最も大きく美しい天然のツリーだ。
ヨールか(新年祭のツリー)
 
新年祭のツリーの装飾=ロシア通信撮影
新年祭のツリーの装飾=ロシア通信撮影
 
慣例として、モスクワのクレムリンに天然のヨールカが聳える。大統領主催のヨールカ祭は12月18日にモスクワ州で催され、それから舞台はモスクワへ移る。毎年首都では70以上の新年祭のツリーが飾られる。
 
劇場
 
クリスマスシーズンは文化に親しむ絶好の機会。ボリショイ劇場も長期にわたる改修を終えて再びオープンしており、正月休みには「くるみ割り人形」や「カルメン」が鑑賞できる(www.bolshoi.ru)。
クリスマス礼拝
ロシアで住んでいるカトリックとプロテスタントはクリスマスを祝う=ロイター通信撮影
ロシアで住んでいるカトリックとプロテスタントはクリスマスを祝う=ロイター通信撮影
 
クリスチャンのモスクワっ子 は教会の礼拝からクリスマスの祝賀を始める 。救世主キリスト聖堂での終夜祈祷には5~6千人が参列する。礼拝は1月6日22時から翌日1時まで続く。開始の数時間前に来ないと満席になる。
 
定期市
 
定期市=PressPhoto撮影
定期市=PressPhoto撮影
 
クリスマス最大の定期市はボリショイ劇場前で開かれる。ゴーリキー・パークでは国際クリスマス・フェアが催され、ロシア料理のほか、ベルギーのウエハース、フランスのグリューワイン、世界の味が勢揃いする。
スケートリンク
赤広場のスケートリンク=タス通信撮影
赤広場のスケートリンク=タス通信撮影
 
正月休みには赤の広場が屋外イススケート場となる。ゴーリキー・パークにはアイス・ロ ードが造られるほか、今年初めてイヌ橇大会も開催。スケート靴やスキー用具はその場で レンタルできる(www.katok.su/roll/moscow)。

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