石上純也氏の増改築案。地下が公園に = PressPhoto撮影
石上氏は世界的に注目されている若手建築家で、昨年べネツィア・ビエンナーレ国際建築展で金獅子賞を受賞している。
石上案については、案そのものの美しさを称賛しつつも、モスクワの条件下での実現可能性を危ぶむ専門家が少なくない。
石上案では、中庭を透明な「膜」で覆うことになっており、その際に米国のARUP社の技術を利用するとしているが、その技術の詳細は明らかにされていない。そのため、果たしてモスクワの気象条件、積雪量に耐えられるか心配する人が多い。
また、敷地全体を4メートル近く掘り下げ、ピロティー式建築のようにし、そこに樹木を植えて公園にする計画。こうして建物の地下が、透明な屋根をもつ開放的な空間に生まれ変わる。
「ロシア人は、概して地階の建設があまり得意じゃないから、技術的にどうかなあ」と首をひねるのは建築評論家アンナ・ブロノビツカヤさん。
ただ彼女も、「元の建物を尊重している点で他のどの案よりも好ましい」と、案自体については称賛の言葉を惜しまない。
今回の増改築は、メドベージェフ大統領が昨年4月に決定した。その目的は、「展示品も展示の仕方も古びた博物館を蘇生させ、世界のレベルに引き上げる」ことだ。
今後、石上事務所は最終計画の作成に入り、請負業者の入札が行われる。着工は2013年、竣工は2017年の予定。総工費は 75 億ルーブル(約190億 円)が見込まれている。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。