生きている過去

『東京発』=kinopoisk.ru撮影

『東京発』=kinopoisk.ru撮影

 がら空きの飛行機にくたびれた様子のいかめしい中年男が乗っている。スチュワーデスはその男に媚びようとするが、男は既婚で妻がいる。もっともすでに亡くなった妻なのだが、微笑む亡霊の姿でときおり現れる。主人公は、震災後、心の命じるままに赴いて一人の日本の老人を救うことのできた東京から、今、その老人とともにモスクワへ向かっている。その日本人にも幻影が現れる。それは、がれきの下敷きとなって死亡した家族である。

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 アレクセイ・ゲルマン Jr.の15分間の映画『東京発』は、ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門にノミネートされた。

 「この映画は情緒的そして詩的な作品で、詩のように多くのことと具体的なことが同時に表現されています。大事なことは、おそらく、過去はそれが生きているあいだは現実のように物として存在するかけがえのないものなのだ、ということです」。ゲルマンJr.は自身の作品についてこう語った。

 この監督のほとんどすべての作品はベネチア国際映画祭に出品されており、2008年には『宇宙飛行士の医者(原題、紙の兵隊)』が銀獅子賞(監督賞)と優秀技術賞(撮影にたいして)を受賞した。