クリミアに新天地を求めてPart 2

ルスラン・コルジェフ撮影

 クリミアはここ100年で、ソ連、次にウクライナ、次にロシアの一部になったが、この半島がどこに属しているかにかかわらず、ロシア人にとってはずっと、大好きな休暇の地になり続けてきた。海、山、温暖な気候...クリミアは従来から、登山、ダイビング、釣り、アウトドアの愛好家を魅了してきた。2014年3月にロシアに編入されると、新たな層もここにやってくるようになった。ロシア「本土」の大都市の喧騒から離れて、自由でのんびりとした暮らしを求めるダウンシフターたちだ。インドのゴアやタイといった都会っ子の定番リゾートではなく、クリミアを選んでいる。いったいどんな人たちなのだろうか。新天地に何を期待しているのだろうか。クリミアの住民投票から2年目を迎え、大都市とステータスの高い職業よりもクリミアの新生活を選んだ人々の話を、ロシアNOWが特集する。

ダリヤ・カルザノワ=イワノワさん(29)とアレクサンドル・イワノフさん(28)=ルスラン・コルジェフ撮影

 

 アレクサンドル・イワノフさん(28)、ダリヤ・カルザノワ=イワノワさん(29)、「アトモスフェラ」社

 モスクワからセヴァストポリに移住した夫婦。

 

いざクリミアに

 2012年からセヴァストポリ市には何度も休暇で来ていた。クリミアはインスピレーションを与えてくれるし、自然と原生で喜ばせてくれる。2014年初めにここで新年を祝い、夏はここに滞在したいという気持ちがわいた。マーケティング分野の高収入かつ有望な仕事を辞めて、2014年7月にセヴァストポリに引っ越してきた。最初は2ヶ月の滞在を予定していたが、実際には4ヶ月に延びた。その後結婚したため、2人の出身地であるボルガ川沿岸のウリヤノフスク市に戻り、身分証明書を変更した。

 2015年の冬の終わり、今後どうするかということになった。大好きなセヴァストポリに行って、当時ロシアで人気があったが、セヴァストポリでは新しい娯楽「クエストルーム」(リアル脱出ゲーム)を開設することに決めた。

 クエストルームはその数ヶ月前に知ったばかりだった。クエストルームの形式とクリミアでの需要の潜在性を一次分析し、2015年2月27日、開業資金の一部を持って、この地に飛び込んだ。私たちにとって、これはやみくも的な信仰の賭けだった。

 この選択に対する理解は近親者にはなく、ウクライナ東部で軍事衝突が行っていたことから、危ないというイメージばかりが先行していた。だが結果的に、暖かく応援してくれた。

 

現実の生活

ルスラン・コルジェフ撮影

 前回の訪問からわずか半年しかたっていないにもかかわらず、クリミアの状況は大きく変わっており、私たちは緊張した。食料品の価格と家賃が大幅に上昇していた。平均所得は低いのに、価格はモスクワより高いこともある。それでも、内なる軽快さ、自由を実感した。気候は素晴らしく、海と太陽はエネルギーをくれる。

 私たちには現在、約5つのプロジェクトがある。クエストルーム「アトモスフェラ」、カフェ「アトモカフェ」、マーケティングのコンサルティング。あとの2つは夫のサーシャのプロジェクト。タクシーの統合アグリゲータ「ブロタクシー」と、インスピレーションの個人指導。

 アトモスフェラは主要なプロジェクトで、マーケティング分野の経験と知識があったおかげで、国際的にも通用し得るブランドをつくることができた。3つめのクエストルームもオープンする。今年は少なくとも2つのクエストルームをオープンして、フランチャイズを展開する予定。最近、資金力のある投資家やパートナー複数に参加してもらうことができて、ロシア市場と国際市場にも参入することになった。

写真は個人所蔵

 主な困難は開始時にあった。来たばかりのころ、地元の市場についての知識も知り合いもなく、自分たちで調べて行った。デジタル機器を使っている会社がそれほど多くなく、インターネットすらない会社もあったため、物理的に模索つまり直接出向いて話をしていた。

 クエストルームを建設する際は、クリミアへの資材搬入の問題があった。ロシア本土と半島を結ぶケルチ海峡経由の水運の運航は、天気の問題で不安定。トラックの大行列ができていた。

 あとは南の人特有ののんびりとした事の進み具合、保守的なところにも直面した。それでもすべてがうまくいって、引っ越しをしてから2ヶ月後には最初のクエストルームを開業できた。この業界では記録的なスピード。モスクワにとっても。

クリミアで交流している人は主に移住者。そのうちの多くはサンクトペテルブルク、モスクワ、ドネツクから来た人。誰もがグローバルな計画やアイデアを持っていて、すごい。このコミュニティではいつもアイデアがわき出していて、誰もが何かに取り組んでいて、何かを生み出そうと頑張っている。多くのパートナーが近しい友人となって、相談されることもあるし、私たちに相談するといいよって口コミも広がっている。

 

今後の計画

エカテリーナ・ハヴァノヴァ撮影

 移住して幸せ。人生に対する見方も、人生そのものも、大きく変わった。とても明るくて、規模が大きくなって、温かい。

 この1年は、相互関係を強化して、家族を強くしてくれた。家庭の大切なことを認識して、はぐくんでいった。男性と女性の関係、事業のペアとしての関係も含めて、この経験を長い文章にしたためようなんて思いもある。

 蓄積された潜在性の実現には、数十年かかりそうだから、私たちの子どもにも協力してもらわないと。もちろん、その希望があればだけれど。

 

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