街の脱出ゲームがロシアで人気

ゲーム「閉所恐怖症」はリアル版「脱出ゲーム」。モスクワで昨年末に出現して以来、ロシアで大人気となっている。そして「閉所恐怖症」形式のライセンスが、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストリア、トルコ、ウクライナ、ベラルーシ、アルメニア、カザフスタンなどでも購入されている。

 脱出ゲームはモスクワの新たなトレンド。ここ数ヶ月、「閉所恐怖症」や類似ゲームについてよく聞くようになった。実際に遊んでみたが、思ったほど単純ではない。4人のチームをつくって、順番を待たなければいけない。モスクワにはこのゲームがすでにたくさんあるが、休日や夜ともなると順番待ちは1週間になる。

 4人集めてモスクワ市中心部の半地下の施設に行ってみた。ゲーム開始前に遊び方の説明がある。「室内の物品を壊さないこと、壁コンセントを分解しないこと、導線を傷つけないこと。助言が必要なら、壁面に通話装置がある。外に出るまでに与えられる時間は1時間」。その後、中世のお城の装飾が施されている部屋の中に閉じ込められ、扉の鍵が隠されている場所を見つけるため、秘密のサイン探しや計算などの難題解きを進めた。

 

新しい遊びの形式

 ゲーム「閉所恐怖症」の共同創設者で最高経営責任者のボグダン・クラフツォフ氏は、ロシアNOWの取材に対してこう話した。「去年の夏にこの形式を思いついて、試してみた。類似の脱出ゲームはすでにハンガリーにあることがわかった。ブダペストに行って遊んでみると、自分のアイデアの方がはるかにおもしろいということがわかり、12月21日に最初のゲームを始めた」

 その数日後、有名なデザイナーで、数万人の読者を抱える人気ブロガーのアルテミー・レベジェフ氏が、「病院」バージョンと「マンション」バージョンを作成した。「4人でかなり楽しめる。2人でもおもしろそうだけど。部屋が2室しかなくて、1回しか遊べない(2回目はおもしろくなくなるため)というのは残念。1週間に1回遊べるように、50室ぐらいあるマンションを丸ごと使いたい。そうなると新しい娯楽産業にもなりそうだけど」

 ゲーム「閉所恐怖症」の人気は高まっている。ブログで書かれたり、口コミで広がったり。「一度行ってみて。後悔しないから」と。

 

ロシア全土に広がる

 現在はモスクワだけでゲーム「閉所恐怖症」が20バージョンあるが、サンクトペテルブルク、カザン、ニジニ・ノヴゴロドでも開設される。「フランチャイズにしているから、ライセンス購入者に新しいゲームの立ち上げ方を教えている。宣伝費用はこちら負担。競合他社と違う点は『閉所恐怖症』が完全にリアルなところ。これはクエストというよりロールプレイングゲーム。これが潜水艦なら、酸素がなくなるまでに上昇しなくてはいけない。警察だったら犯人の一味を見つけなくてはいけない」

 すでにたくさんの競合企業があらわれている。クラフツォフ氏によると約30社で、部屋はそれよりずっと多い。一部の都市では人気において、ゲーム「閉所恐怖症」を上回るという。カザンでは「ロック・ストーリー」の方が人気がある。そのシナリオライターでコンサルタントのアンナ・ルス氏はこう話す。「5月に最初の部屋を開設して、すぐにブームが起こった。ゲーム『いなかった人』を、カザンの有名なブロガーは全員試して、自発的に宣伝してくれた。これは心理的なスリラー。いなかった人の跡を追って、最後にカタルシスが始まる」

 カザンの人口は約200万人。ルス氏によると、部屋の期間は1年。「新しい部屋をつくる時に、1年後にはここにどんな新たなシナリオをつくろうかと考える」

 大都市のモスクワでは、遊ぶ人が無限にいるため、それほどひんぱんな変化は必要ないという。「新しい部屋を創設するまでに次から次へと希望者が来る」とクラフツォフ氏。

 

外国からも問い合わせ

 ゲーム「閉所恐怖症」には、外国人も関心を持つようになったという。「モスクワに来て遊んでから、自国で開設することを決める。現在は70種類開発中で、そのうちの多くが外国。アムステルダム、ロンドン、ベルリン、ウィーン、ニューヨーク、マイアミ、イスタンブールなど。アルメニア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、他にロシアの15都市でももうすぐ始まる」

 クラフツォフ氏によると、世界からフランチャイズに関する問い合わせのメールを、毎週500件ほど受け取っているという。従来の娯楽が不足しており、新しい活動的な休暇が模索されている。このゲームは需要に合っていたようだ。

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