Getty Images/Fotobank 撮影
ロシアの戸籍登録機関(ザクス)によると、モスクワで2011年の婚姻総数の約11%、1万731件が国際結婚だ。
このうち日露間の婚姻数は10年でわずか99件だ。その背景を探るため、ロシア・日本在住で20代から40代まで16組の「日露国際夫婦」に尋ねた。
将来夫婦となる二人の出会いの場は実にさまざま。サンクトペテルブルクの図書館やモスクワの日本語関連イベントの会場、東京の外国人交流会や札幌のカフェまで。ネットや結婚相談所を通じての出会いもある。
「7年前、私が通っていたペテルブルクの大学の日本語の授業に、留学生のサトシさんが授業参観に来ました。隣の席に座り、日本語練習ゲームとして二人で夫婦の会話をした私たちが、6年後に夫婦になるとは思ってもみなかった」(アリビーナさん、26歳)
外国語教育は出会いの大きなきっかけになり、国際結婚につながる大きな役割を果たしている。
「国際結婚と普通の結婚との根本的な違いは、パートナーの一人、もしくは両方が日常的に母国語でない言葉を使わなければいけないことにあります」と、横浜在住のエカテリーナさん(26)は話す。
真意の微妙なニュアンスが相手に伝わらないことはどうしてもある。その解決法として、多くのカップルはロシア語や日本語、英語などを程よく交ぜ合わせた「二人だけの特別な言語」を使って、問題なく日常会話をしている。
言語の壁の次に問題になるのは文化の違い。
「国籍が違う場合、パートナーはお互いのパーソナリティーの相性以前に、メンタリティーと言語の壁を越えなければなりません」と、奥さんと一緒にモスクワに住むワジムさん(30)は言う。
文化の違いがとんだハプニングを起こすこともある。
「ある日、主人がフェイスブックに私たち夫婦の写真を載せているのを見つけました。「奥さん、美人ですね」と友人がコメント。主人の返事は「モデルさんのような君のガールフレンドほどではないよ」。この後、主人は私に対し長時間かけて日本人の『謙譲の文化』について必死に説明したのを覚えています」(ナタリアさん、27歳)
日本とロシアは、家庭と仕事の位置づけも異なる。残業や上司との飲み会で帰りが遅くなる日本人の「仕事第一」はロシア人にはわかりにくい。最近は日本でも事情が変わってきたようだが。
「ロシア人の主人が仕事の量にもかかわらず、なるべく長い時間を家族と過ごそうと心得ているのが、とても嬉しい」モスクワに暮らすヒロミさん(26)は笑みを浮かべる。
夫婦共働きが当たり前のロシア。日本では「男性は外で仕事し、女性は家庭を守る」という観念がやはり強い。
「一生懸命に仕事を探していた私に主人(日本人)が言ってくれました。『仕事しなくていいよ。家事育児も立派で大変な仕事。他は私に任せてくれ』。実に驚くべき言葉でした」(匿名希望、35歳)
子育て自体も、ロシアと日本とではやり方が違う。数カ月前に出産したばかりのオレーシャさん(30)は言う。「子供が風邪をひいても、転んで泣いても、けんかしてもやむを得ないこと。日本のママはどんな時でも安心している。ロシアのママは子育てに少し心配性」
「一緒に住み、文化の特徴が自然に融合し、互いの違いを受け入れるようになる。私たち夫婦は『日本式』『ロシア式』でなく、『自分たち式』です」そう話すのは、リーザさん(24)。
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