脊髄刺激がネズミの麻痺に効果

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 脊髄を損傷した場合の脊椎刺激方法を、ロシアとスイスの神経生理学者が発明した。麻痺のある実験用マウスは、すでに移動性を取り戻している。

 電気刺激と最新インプラントを用いて、麻痺のある人の多くに足で立ってもらおうとしている。すでに実験用マウスでこの新しい方法を試しており、現在、人への応用の問題について考えている。

 方法論の考案者の一人であるサンクトペテルブルク国立大学転化生物医学研究所のパーヴェル・ムシエンコ氏は、「長年の実験の中で、電気刺激方法を用いるアイデアがでてきた」とロシアNOWに話した。以前の電気刺激とは、脊髄の一領域または二領域を継続的に刺激するものであった。

 研究者はマウスの実験で、電極マトリックスを開発したのだという。これは新しいインプラント技術と、課題や運動系(筋肉、骨格など)の状態に応じて脊髄の異なる領域を交互に刺激するアルゴリズムである。

 

次は麻痺のあるネコか

 スイスの研究者グレゴワール・クルティーヌ氏率いるこの研究チームは、独自の神経線維刺激アルゴリズムを開発した。これにより、麻痺のある実験用マウスが、運動の自由を取り戻すことができる。極めて深刻なケガを負った場合でも、一部の神経終末は無傷のまま残っていることを、研究者は発見した。

 研究者は、脊髄に残った無傷の神経連絡を課題に合わせて調整。特に、失われた運動活動性の復元に合わせた。神経の電気刺激と復元という課題に合わせて開発された「外骨格」での特別な訓練により、マウスは運動活動性を完全に取り戻した。

 「背中を曲げる機能が損なわれた場合に、屈筋を制御する領域に影響を与えることが可能。また、伸筋を制御する領域の回復も可能。この方法は有効だが、人間に試すのは、今は時期尚早だと思う」と、ムシエンコ氏はロシアNOWに話す。ムシエンコ氏によれば、ネコ、またサルといった、もう少し大きな動物で試験する必要がまだあるという。

 

人への試験はいつ?

 回復の障害となるのは時間だ。麻痺してから長い年月が経過している、または部分的に麻痺している場合は、方法が効かない。初期段階の治療開始時に適用可能である。特別な電気刺激マトリックス、すなわち幹細胞をベースとしたインプラントで、無傷の神経細胞および神経鎖を運動回復プロセスにつなげることができる。

 「他の動物への試験がいつ始まるかは、今のところはっきり言えない。資金調達や研究チームの状況によって変わってくる。神経生理学者、神経外科医、エンジニアや、他の専門家も、資金調達と同様、試験の成功や技術の導入に必要な条件」とムシエンコ氏。

 ロシアおよびスイスの研究者は現在、電気刺激による脊髄回復のメカニズムの研究を続けている。また、部分的な麻痺のある人の回復方法も研究中である。

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